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NEW Digestive Disease Week 参加報告
2024年5月18日~21日に米国消化器病週間(Digestive Disease Week (DDW))が米国ワシントンDCで開催され、参加いたしました。
私の発表は学会3日目のポスター展示での発表であり、発表内容は、色覚特性による内視鏡的粘膜下層剥離術時の血管視認性の違いを調べるとともに、画像協調内視鏡検査であるRDI(Red Dichromatic Imaging)が視認性向上に寄与するか、その有用性の検討についてでした。
海外での学会発表は2015年以来9年ぶりでしたので不安と緊張がありましたが、同行いただきました松浦稔教授、消化管治療班の望月もえぎ先生の強力なバックアップによって、無事にポスター発表することができました。私の発表が他にはない内容であり、また視覚的に分かりやすい写真を用いていたためか、立ち止まりじっくり読んでくださる方が多く、注目度は高かったのではないかと考えます。御質問もいただき、見当違いの回答をしてしまった時もありましたが、なんとかジェスチャーも加えながら回答し、最終的には理解いただけたときには本当に嬉しかったです。
(DDWモニュメントの前で。)
(英語での質問に対して説明に悪戦苦闘しています。)
日頃より久松教授からは発表するときにはその論文として残すことの大切さをご指導いただいており、本発表についても投稿準備を進めておりました。今回発表の場でいただいた質問は、査読でレビューアーからいただいた指摘と多くが重なっており、客観的視点からご意見をいただくことの大切さも実感いたしました。なお論文はそれらの意見を反映する形でアップデートし、現在は無事掲載準備段階となっております。
3000枚のポスター、425のセッションをすべて網羅することは到底困難でしたが、海外での注目が今何に集まっているのかがよく分かりました。Per-Oral Endoscopic Myotomy (POEM)が、Zenker憩室に応用されたZ-POEM、また幽門狭窄に対して行われるG-POEMへ進化していたり、小児を含む好酸球性食道炎に対するヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体の使用、Transcatheter Aortic Valve Replacement (TAVR)などの手技に関連する内視鏡所見の変化が注目されるなど、疾患の種類や頻度の日本との違いを感じました。また最も多く聞かれたキーワードは、"Green Colonoscopy"、"Sustainable Healthcare"でした。大腸内視鏡検査のCarbon footprintが計算され、それをもとにガイドラインの順守の重要さ、適切な内視鏡検査間隔、便潜血検査の用い方についての議論がなされており、これは日本にはない視点であると感じました。
(企業ブースではシングルユースの内視鏡の実機を初めて触りました。スコープ自体が非常に軽く、画質も操作性も普段のスコープと遜色ないものでした。)
(到着初日のお昼ご飯。やはり食べておきたいハンバーガーとピザ、美味しくいただきました。)
ワシントンDCはコンパクトな中に、リンカーン記念堂やホワイトハウスなど多くの見どころがある街であり、滞在中には現地を散策することができました。街には広大な美しい公園があり、リスが駆け回っている姿を見ると疲れも癒されます。ナショナルギャラリーオブアートにはレオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールなどの素晴らしい絵画コレクションが充実していました。誰もが入場料が無料でこれらを鑑賞できることに驚き、また歴史的な円安の中の滞在でしたので、とても有難く感じました。
(リンカーン像の前で。建物を含めて想像以上の大きさで、像の前に到着するまでに登山くらいの疲労度でした。)
(奥に見えるのがアメリカの国会議事堂のUnited States Capitolです。美しい公園では、あちらこちらでリスを見かけました。)
今回DDW2024に参加し、日本の内視鏡分野が変わらず世界をリードしていると感じた一方で、世界では思わぬ方向へ進化しているものがあるので参加し発信し続けることの大切さを感じました。
最後に、今回国際学会に温かく送り出してくださった久松教授、三好准教授をはじめ、学会中業務を負担していただきました皆様に深謝申し上げます。また、慣れない海外滞在にあたり同行いただき支えて下さりました松浦教授、誠にありがとうございました。今後もひきつづき研究活動を継続して参りたいと思います。
大野 亜希子