toTOP

杏林大学医学部 消化器内科学教室
menu

トップ >

What's New

第32回日本消化器病関連学会週間(JDDW2024)に消化器内科医局員が参加し発表を行いました

消化器関連学会の最大イベント JDDW 2024 (日本消化器関連学会週間 2024 10月31日(木)〜11月3日(日))が神戸コンベンションセンターで開催されました。対面とWEB視聴のハイブリッド開催でしたが、消化器内科からは久松、三好、大野、森久保、小栗、川本が現地で発表しました。

なんといってもトップニュースは小栗先生の一般演題会長賞の受賞で、1200席の大会場で口頭発表しました。

同賞は一般演題の中から消化器病学会の当番会長がたった一演題だけ選出するもので、今回は北海道大学大学院消化器内科の坂本直哉教授が小栗君の発表を選んでくれました。当然僕も受賞はもちろん指導者としても経験がなく、びっくりしています。受賞者である小栗先生は拡大プログラム委員会(周囲は教授ばかり)にも招かれました。

三好准教授は私が司会を務めたシンポジウムで最新の研究成果を発表し、多くの質問を受けました。炎症性腸疾患分野では多くの分子標的治療薬が開発されていますが、有効性の事前予測は確立していません。血清サイトカインプロファイルを機械学習で解析するという非常に注目度が高い研究で更なる発展を期待しています。確立できれば現在の炎症性腸疾患診療体系を根底から覆すかもしれません。

大野講師は一般演題で研究中のバリアフリー内視鏡について発表しました。これは色覚特性を持つ内視鏡医では実際にどのように画像が見えているか、という点に着目した独創的な研究です。すでに最初の論文がDEN Openに掲載されています。多様性が大切にされる今日、色覚特性を持つ医師でもハンデのない内視鏡が施行可能になることを目指した研究で社会的に重要な視点だと思います。また大野講師はブレックファーストセミナーで講演し、International Poster Session の座長(もちろん英語!)の大役も務めました。

森久保助教はパネルディスカッションで潰瘍性大腸炎に対する分子標的治療薬において内視鏡効果判定をいつ行うべきか、という課題について発表しました。すでに何回か主題発表を経験しているだけあって落ち着いていました。彼の場合はもう主題で発表するだけでは周囲は驚かないので、より斬新で、独創性のある発表を目指してさらに頑張ってほしいです。

川本先生は今回胆膵班を代表して単身JDDWに乗り込み、見事にデジタルポスター発表しました。座長からの質問にも堂々と答えており見事代表役を務めました。次はぜひ主題発表と論文作成を目指してほしいと思います。

ここ数年、JDDWや春の消化器病学会・消化器内視鏡学会総会における臨床分野における杏林の活躍はもはや驚きではなくなりつつあります。それを裏付けるようにスタッフが各分野で座長、プログラム委員、そして学会の委員を務めるようになってきました。さらに大学院生の基礎研究の成果が表に出始めたことは杏林消化器内科のプレゼンスを一段上げたでしょう。

働き方改革、専門医制度、ワークライフバランス、となにかと基礎・臨床研究をやりづらい環境になってきています。研究からやむなく撤退している大学病院も数多くあります。その中で私立大学である杏林消化器内科が臨床と基礎の両立に挑戦し成果を上げていることはとてつもなく価値のある事です。そして他大学もそのように評価しています。

医局員の皆さんは誇りに思っていいです。胸を張って「杏林消化器内科」を名乗ってください。

そして大事なことは若い人にその方向性を引き継ぐことです。

最終的に臨床医として地域医療に貢献するとしても、医学に携わる者としてのマインドを持つことは極めて大切です。

そしてそれを育む場であるということが大学病院や学会の価値でしょう。

ただし、まだゴールではありません。各自さらなる上を目指して頑張ってください。

楽しく明るくやることが大切です。


文責:久松理一

<消化器内科の発表リスト>

久松理一 

肝線維化・肝性脳症をAkkermansia muciniphilaは改善する―小腸腸内細菌叢の重要性―

ブレックファーストセミナー10 肝疾患と腸内細菌


久松理一, 今枝彩, 森岡千早, 仲瀬裕志 

潰瘍性大腸炎患者におけるリサンキズマブ維持療法

デジタルポスターセッション


三好潤, 小栗典明, 久松理一 

血清サイトカイン・ケモカインプロファイルに基づく炎症性腸疾患の新規分類と治療効果

シンポジウム 11 炎症性腸疾患の病態解明に向けた研究の展開


大野亜希子

大腸内視鏡治療のエッセンスとは?~RDIを用いた最適アプローチ~

ブレックファーストセミナー9  内視鏡診断・治療の基本を学ぶ ~おさえておきたいポイントについて~


大野亜希子, 鍛冶諒介, 久松理一 

色覚の多様性に配慮した表在型食道癌の内視鏡診断

デジタルポスターセッション


森久保拓, 松浦稔, 久松理一 

潰瘍性大腸炎におけるUstekinumab導入6ヶ月後の内視鏡的評価の臨床的意義に関する検討

パネルディスカッション1 内視鏡を活用した炎症性腸疾患のT2T


小栗典明, 三好潤, 久松理一

肝硬変,肝性脳症における小腸微生物叢dysbiosisと治療的介入の可能性

デジタルポスターセッション 一般演題会長賞


川本翔, 権藤興一, 江藤晃一郎, 荻本直尭, 山田貴大, 神林孔明, 野坂岳志, 落合一成, 渡邉俊介, 土岐真朗, 久松理一 

当院における無症候性総胆管結石に対する治療成績

デジタルポスターセッション