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杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科
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胆石、総胆管結石

どんな病気?

 胆石は、肝臓から十二指腸まで流れる消化液である胆汁を元に出来る結石で、主に胆嚢結石と総胆管結石の2種類に大きく分けられます。胆汁が流れる経路を胆管と呼び、肝内胆管から総胆管へと続き十二指腸につながります。総胆管の途中には袋状になっている胆嚢があります。胆嚢結石は無症状のことがほとんどですが、一部の方では結石が胆嚢の出口にはまり込んだ場合に激痛が起こることがあります。これを胆石発作といいます。みぞおちから右上腹部にかけて、または右背部に急な激痛を感じ、数十分~数時間後には痛みは一旦良くなります。特に脂肪分の多い食事を摂ると胆石発作が起こりやすくなります。痛みが続いたり、高熱が出たりする場合には、胆嚢に感染による炎症(胆嚢炎)を起こしてしまっている可能性があります。この場合には、下記のように積極的な治療が必要となります。
 一方、総胆管結石は、無症状のこともありますが、胆管炎を合併するとみぞおちから右上腹部にかけての痛み、寒気やふるえを伴う高熱、黄疸(顔などの皮膚が黄色くなること)が認められます。胆管炎は重症になることが多く、意識状態が悪くなったり、ショック状態、体中に菌がまわってしい、敗血症や多臓器不全へと状態が悪くなる可能性があります。
 胆石症は近年食生活の欧米化に伴って増加傾向にあります。また女性に多く見られる傾向があります。

検査は?

 まずは血液検査で胆汁の流れが悪くなっていないか、炎症があるかを調べます。さらに、画像検査(腹部超音波、CT、MRI)で結石がどこにあるか、炎症がどの程度広がっているのかなどを確認します。CTでは映らない結石もありますので注意が必要です。

治療は?

 無症状の胆嚢結石は様子を診ることになります。胆石発作では、痛み止めで対応できることが多いです。しかし、胆嚢炎が起きている場合には、点滴(抗菌薬や水分・栄養補給など)で治療をします。お腹から胆嚢に向けて針を刺して胆嚢に溜まった感染した胆汁を外に出す治療(経皮経肝的胆嚢ドレナージや内視鏡的胆嚢ドレナージ)を行います。緊急的に外科手術(胆嚢摘出術)も行われることもありますが、一般的には、上記治療で一旦状態が安定してから胆嚢摘出術を検討します。
 総胆管結石は無症状であっても治療の対象になることがほとんどです。特殊な側視鏡という内視鏡を用いて胆管にチューブを入れて、胆管の出口を広げて、結石を掻き出してくる治療を多くの場合行います。急性胆管炎を起こしている場合は、点滴(抗菌薬や水分・栄養補給など)で治療したり、内視鏡胆管ドレナージを行います。炎症が落ち着いてから結石除去術を行います。一回の内視鏡治療で結石が採り切れない場合には、後日二回目の内視鏡で結石を再度掻き出す治療をすることもあります。患者さんの基礎疾患や様々な社会的背景も考慮して内視鏡での治療が難しいと判断される場合には、体の外から針を刺して胆管に溜まった感染した胆汁を外に出す治療(経皮経肝的胆管ドレナージ)を行ったり、胆管にプラスティックチューブを留置して、結石は除去しないこともあります。

担当医からの一言

 当院では、診療ガイドラインに沿った治療を行っております。安心してご相談いただければ幸いです。





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