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杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科
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先輩からのメッセージ

共同研究プロジェクトに採択

当教室及び薬理学教室で進めている研究である「難治性小腸潰瘍症の原因遺伝子であるSLCO2A1トランスポーターの機能解析」が平成29年度杏林大学医学部共同研究プロジェクトに採択され、助成金をいただきました。 近年疾患概念が提唱されたSLCO2A1遺伝子関連腸症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1:CEAS)は難治性小腸潰瘍症をきたす一疾患であり、慢性的な消化管出血による貧血と低たんぱく血症をきたすものです。この疾患の原因はプロスタグランジンを輸送するトランスポーターをコードするSLCO2A1遺伝子の変異であり、トランスポーターの異常が起こっているということは判明していますが、詳しい病態はまだ明らかになっておらず、有効な治療法もありません。 今回の研究では、主にアフリカツメガエルの卵母細胞を用いてのSLCO2A1トランスポーターの機能解析と、遺伝子異常によるその機能の変化を解明することを目的としています。SLCO2A1トランスポーターの機能解明によりCEASの詳細な発症機序が解明され、ひいてはCEASの治療法開発や発症予防への道を開くことが目標です。 新しい疾患概念であり、わからないことが多い中で手探りでの研究を行っておりますが、この実験・研究により誰も知らなかったことが明らかになっていくというのはまた楽しくもあります。研究の指導を行っていただいている久松教授、実験の指導・協力をいただいている薬理学教室の先生方に支えられながら、少しずつ研究を進めております。大学からの助成もいただけましたので、期日までに見合う成果をあげられるよう励んでいきたいと思います。


2017年7月  關 里和