杏林大学付属病院消化器内科を受診される皆様へ

久松 理一
我が国の医療も少子高齢化社会に伴いいよいよ大きな転換期を迎えようとしています。病院の集約化が進み急性期疾患を扱う病院は経営を含めて厳しい状況に直面することが予想されます。そのなかで東京西部唯一の大学病院本院、高度先進医療機関としてこれからも質の高い医療の提供し、三多摩地区を中心とした東京西部の地域医療を維持していく所存です。
消化器内科の診療は5つの専門グループから構成されています。入院患者さまの場合は、これらの専門グループが主治医チームと連携して患者さんと相談しながら治療方針を決めていきます。
胆膵班
土岐真朗准教授をリーダーとして年間400-500件のERCP関連手技を行なっています。総胆管結石の除去、胆膵悪性腫瘍に伴う閉塞性黄疸に対するステント挿入では他の医療機関で手技的に困難であった症例も数多く紹介されています。胆膵悪性腫瘍の確定診断のためのEUS-FNAも積極的に行っております。緊急患者さまも多いので24時間対応できる体制をとっています。
消化管治療班
大野亜希子講師をリーダーとして、食道、胃、大腸の早期がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行なっています。約200件/年のESD(食道・胃・大腸)の実績をあげています。特に大腸粘膜内癌に対するESDは年々症例数が増加しています。ひとえに治療困難例を含めて東京西部の広い地域から患者さまのご紹介をいただいているおかげです。また、食道静脈瘤破裂を含む消化管出血に対しては24時間体制で対応可能です。
肝臓班
森秀明特任教授、川村直弘講師、關里和助教を中心に、HCV・HBVに対する抗ウィルス治療、HCCに対するラジオ波治療やTACEを行なっています。特にラジオ波治療については困難例にも対応するために外部からエキスパートも招聘しています。腫瘍内科や外科とも連携し化学療法や手術症例にも対応しています。また最新の超音波装置を用いて肝線維化の評価も積極的に行なっています。自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性胆管炎(PBC)の症例が多いのも当院の特徴です。
ピロリ除菌外来
除菌困難例(二次除菌、三次除菌)、薬剤アレルギーを持つ方の除菌などに専門医(総合診療科教授 徳永健吾)が対応しています。
小腸大腸班と炎症性腸疾患包括医療センター
久松(主任教授)、松浦稔 臨床教授をリーダーとして炎症性腸疾患や大腸癌を中心に下部消化管疾患に対応しています。炎症性腸疾患登録患者数は 約16000名(潰瘍性大腸炎 約1200名、クローン病 約400名)で全国の施設からご紹介いただいております。新薬による先進医療はもちろん、杏林では国際共同治験を含めた数多くのIBDに対する治験を行なっています。もし治療に難渋している患者さんがおりましたらいつでもご相談ください(地域連携枠で炎症性腸疾患外来の予約が可能です)。月曜から土曜までIBDを専門とする医師が外来に出ています。また、下部消化管外科との連携も緊密で、IBD外科手術も年々増加してきており西東京でのIBD外科手術の基幹施設となっています。2022年4月から開設された炎症性腸疾患包括医療センター(Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease, ICIBD) (http://kyorin-icibd.com/)では、患者さまを中心とした多職種による包括的診療をおこなっています。さらにエキスパートによる講演のオンデマンド配信など、患者さまや地域の医療関係者の皆様方にお役に立つ活動を行なっています。ぜひサイトを訪れてみてください。三好潤准教授がリーダーである腸管エコーは日本における指導施設の役割も果たしており全国から医師や技師の方々が見学に来ています。 小腸の疾患は検査を含めて診断が難しいことが多いと思います。林田真理講師が小腸検査外来を開設しています。小腸カプセル内視鏡や小腸バルーン内視鏡が必要な患者さんがいらっしゃいましたらいつでもご相談ください。特に小腸バルーン内視鏡が施行できる施設は東京西部では少なく、クローン病、小腸出血、小腸腫瘍の患者さまを数多くご紹介いただいています。
腫瘍内科との連携
消化器内科では多くの癌患者さんが通院、入院されています。その中で化学療法や化学放射線療法の適応のある方は腫瘍内科と連携して治療にあたっています。治療方針は消化器内科、外科、腫瘍内科、放射線科などが参加したミーティングで決定され複数診療科の協力体制のもとで進められます。
*杏林大学医学部付属杉並病院新規開設のご案内
2024年4月1日から旧佼成病院の立地に杏林大学医学部付属杉並病院が開設されました。消化器内科からもスタッフが派遣され付属病院(三鷹)とも密に連携して診療にあたっていきます。ぜひ近隣の患者さま、医療機関の皆様におかれましてはよろしくお願い申し上げます。
2026年も消化器内科一丸となって診療にあたります。今後ともご指導のほど宜しく御願い申し上げます。
【杏林大学医学部付属病院消化器内科の目指すところ】
- 病気を治すのではなく病人を治す医療を提供すること
- 安全で質の高い医療を提供すること
- 常に新しい知識と技術をもってエビデンスに基づいた医療を提供すること
- 地域に信頼される消化器内科であること
- 患者さんとご家族に丁寧な説明を行うこと
診療科長挨拶2026年7月22日
杏林学園研究センター長
杏林大学医学部付属病院副院長
杏林大学医学部消化器内科学 教授・診療科長
久松理一(ひさまつ ただかず)


