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杏林大学医学部 第三内科学教室 消化器内科
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学会・研究会の報告

森久保拓先生の潰瘍性大腸炎に対する機械学習を用いたウステキヌマブの効果予測の論文がScientific Reports誌に掲載されました

Machine learning using clinical data at baseline predicts the medium-term efficacy of ustekinumab in patients with ulcerative colitis
Hiromu Morikubo, Ryuta Tojima, Tsubasa Maeda, Katsuyoshi Matsuoka, Minoru Matsuura, Jun Miyoshi, Satoshi Tamura, Tadakazu Hisamatsu
Sci Rep. 2024 Feb 22; 14(1): 4386. doi: 10.1038/s41598-024-55126-1.

<森久保先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎治療では治療効果の予測が重要な課題ですが、投与した後に治療効果を評価することしかできないのが現状です。本研究では、潰瘍性大腸炎の分子標的治療薬の一つであるウステキヌマブの治療効果を、薬の投与前に予測できないかということを課題としました。 機械学習を用いることで、ウステキヌマブの予測モデルを作成することができましたが、今後は今回のモデルをどの様に治療に活用していくかを検討し、患者様の治療改善につなげていきたいと考えております。 当教室の久松教授、三好先生をはじめ、機械学習という医学とは異なるデータサイエンス分野では岐阜大学の田村先生、戸嶋様に、また研究協力頂いた東邦大学医療センター佐倉病院の松岡教授など、本研究に関わっていただいた皆様に深く御礼申し上げます。

小松悠香先生の潰瘍性大腸炎に対する腸管超音波検査についての論文がJournal of Gastroenterology誌に掲載されました

A combination of bowel wall thickness and submucosa index is useful for estimating endoscopic improvement in ulcerative colitis: external validation of the Kyorin Ultrasound Criterion
Haruka Komatsu, Hiromu Morikubo, Yoko Kimura, Chihiro Moue, Hiromi Yonezawa, Minoru Matsuura, Jun Miyoshi, Tadakazu Hisamatsu
J Gastroenterol. 2024 Jan 21. doi: 10.1007/s00535-024-02077-z.

<小松先生からのコメント> 潰瘍性大腸炎(UC)における内視鏡的改善(EI)は実臨床での目標です。EI予測が腸管超音波検査(IUS)でも代用可能ならば、患者の負担軽減も期待されます。本論文はUC患者のEI推定において「Kyorin Ultrasound Criterion(KUC-UC)」というIUSを用いた新基準を作成し、その有用性を検証しました。KUC-UCは腸管壁厚と、腸管壁第三層(粘膜下層)の割合で構成されたスコアであり、エコーのBモードでのみ観察可能、かつ簡便に計算ができるという強みがあります。現在腸管エコーは実施可能な施設が少なく、今後の発展につながれば幸いです。最後に、本論文作成に際し、ご指導をいただきました久松理一教授、三好潤先生、森久保拓先生をはじめ、ご協力いただいた先生方に感謝申し上げます。

杏林大学医学部消化器内科が参加していた国際共同試験「中等症から重症のクローン病に対するグセルクマブの寛解維持における有用性(第2層ランダム化二重盲検プラセボ比較試験)」がThe Lancet Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました

Efficacy and safety of 48 weeks of guselkumab for patients with Crohn's disease: maintenance results from the phase 2, randomised, double-blind GALAXI-1 trial Lancet Gastroenterol Hepatol. 2023 Dec 14: S2468-1253(23)00318-7. doi: 10.1016/S2468-1253(23)00318-7. Online ahead of print.
Silvio Danese, Remo Panaccione, Brian G Feagan, Anita Afzali, David T Rubin, Bruce E Sands, Walter Reinisch, Julián Panés, Aparna Sahoo, Natalie A Terry, Daphne Chan, Chenglong Han, Mary Ellen Frustaci, Zijiang Yang, William J Sandborn, Tadakazu Hisamatsu, Jane M Andrews, Geert R D'Haens; GALAXI-1 Study Group

<久松教授のコメント>
グセルクマブはインターロイキン23(IL-23)のp19タンパク質に対するモノクローナル抗体です。炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)ではIL-23を標的とした治療の有効性が高く注目されており、グセルクマブは3剤目のIL-23p19に対するモノクローナル抗体になります。炎症性腸疾患の分野では国際共同治験が行われることが一般的になり、欧米と日本のドラッグ・ラグはほとんどなくなってきています。当院消化器内科も炎症性腸疾患包括医療センター(Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease: ICIBD)の重要な活動の一つとして多くの国際共同治験に参加しています。

杏林大学医学部6年生堀江さん・宍戸さんの胃梅毒に関する症例報告が杏林医学会雑誌に受理されました

第120回日本内科学会総会「医学生・研修医のことはじめ2023」において優秀演題賞を受賞した「上部消化管内視鏡所見を契機に診断された胃梅毒の1例」 (https://www.kyorin-u.ac.jp/cn/html/kyorin/00003/202308232/index.html) が、症例報告として杏林医学会雑誌に受理されました。受理された論文は杏林医学会雑誌54巻4号 (2023年12月28日公開) に掲載される予定です。 本論文は当科の三浦先生・平塚先生が指導を行い、杏林大学医学部医学科6年生の堀江宗さん・宍戸カンナさんが協力して論文作成と投稿を行いました。医学部学生による杏林医学会雑誌への論文受理は史上初ということであり、非常に栄誉なことであると考えます。当教室は今後も堀江さん・宍戸さんの更なるご活躍を応援いたします。 以下コメントを頂きましたので、ご掲載させていただきます。

<堀江さんのコメント>
今回作成させていただいた胃梅毒の論文は、今年の4月に学会で発表した症例であり、学会発表とはまた違った視点からのデータ収集や学術的文章の書き方に大変苦労しました。そのため作成に行き詰まることも多々ありましたが、久松教授や三浦先生を始めとする多くの先生方に手厚いご指導をいただき、論文作成を進めることができました。また今回の症例である胃梅毒は、梅毒が急増している近年において医学的に非常に重要なトピックであり、そういった社会問題に触れることができた点においても、やりがいを感じることができました。今回得た経験を今後の論文作成や学会発表にも活かせるよう、日々励んでいきたいと思います。

<宍戸さんのコメント>
学会発表した症例を論文にするという貴重な経験をさせていただきました。関連情報の収集やそれに沿って考察を展開していくだけでなく、言葉遣いや論文の一貫性など、発表とはまた違った部分に難しさを感じることも多々ありましたが、久松教授、三浦先生を始めとする諸先生方に大変手厚くご指導いただき、この度杏林医学科会雑誌に掲載していただけることになりました。学生のうちからこのような貴重な経験をさせて頂いたことは、今後の大きな糧になると感じております。今後もこの経験を元に何事にも貪欲に取り組んで参ります。

第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023)で消化器内科学医局員が発表を行いました

第31回日本消化器関連学会週間(JDDW 2023)が2023年11月2日-5日に神戸コンベンションセンターで開催されました。JDDWは日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本消化器外科学会および日本消化器がん検診学会が合同で開催する本邦における消化器関連で最大の学会となります。例年、消化器内科学教室では医局員が参加し学術発表を行っておりますが、本年度も下記の発表およびイベント参加を行いました。

<主題>
パネルディスカッション3:IBDにおける内視鏡診療の新展開
長期予後の観点から見た潰瘍性大腸炎に対するVedolizumab導入24週時における内視鏡的評価の臨床的意義
齋藤 大祐

パネルディスカッション8: IBDのTreat to Targetの実際-治療選択のポイント
潰瘍性大腸炎における腸管エコーを用いた分子標的治療薬の中期的有効性の予測
木村 容子

International Session(Panel Discussion)1:アジアにおけるIBDの進歩と将来展望
Intestinal ultrasound in inflammatory bowel disease therapy: further clinical application and dissemination
三好 潤

<デジタルポスター>
デジタルポスターセッション消021:小腸(基礎・臨床)
肝硬変・肝性脳症における小腸微生物叢dysbiosisとリファキシミンによる是正
小栗 典明

デジタルポスターセッション消029:大腸(クローン病)2
中等症から重症のクローン病に対するウパダシチニブの臨床的改善と寛解の12週までの早期改善
久松 理一

デジタルポスターセッション内074:胆道・胆管(結石)2
高齢者における無症候性総胆管結石症に対する内視鏡的結石除去術の有用性の検討
落合 一成

<ハンズオンセミナー>
HOS消化管2「もっと短く大腸挿入!」:インストラクター
大野 亜希子

HOS胆膵1「超音波内視鏡:描出からFNAまで」:トレーニー
川本 翔

羽田裕先生の症例報告がDEN Open誌に掲載されました

Surgical resection identified pseudo-invasion with submucosal dense fibrosis in early colorectal cancer existing beyond the planned endoscopic submucosal dissection line: A case report
Yu Hada, Akiko Ohno, Jun Miyoshi, Ryosuke Kaji, Yasue Fujikawa, Tomoki Horikoshi, Tomoya Hiratsuka, Naohiko Miyamoto, Mitsunori Kusuhara, Yoko Jinbo, Masachika Fujiwara, Junji Shibahara, Tadakazu Hisamatsu PMID: 37822966 PMCID: PMC10564287 DOI: 10.1002/deo2.298

<羽田先生からのコメント>
今回の論文では日本消化器内視鏡学会にて発表させていただいた症例を報告いたしました。偽浸潤とは腺腫組織が粘膜固有層とともに粘膜下層に逸脱する現象であり、S状結腸の比較的大きく、有茎性の腫瘍性病変は偽浸潤のリスクが高いと考えられています。本症例では、当初予定していた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が線維化により施行困難で外科的切除に治療方針を変更したところ、想定されたESDカットラインよりも深部に偽浸潤が存在していました。断端陽性は再発の危険因子となりうるため、本症例のような偽浸潤を来しやすい形態の腫瘍に対してESDを行う際には、適応を慎重に検討すべきであると考えます。
自分にとっては初めての英語での論文投稿であったため、苦労することもありましたが、偽浸潤についての注意すべき点は述べる事ができたのではないかと思います。ご指導いただきました、久松教授、三好先生、大野先生をはじめ、協力をいただきました皆様方に深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

木村容子先生の症例報告がClinical Journal of Gastroenterology誌に掲載されました

Life-threatening gastrointestinal bleeding caused by perforation of a penetrating atherosclerotic ulcer into the esophagus
Yoko Kimura, Kenji Nakamura, Daiki Kojima, Tadashi Katayama, Sakiko Takarabe, Hiroshi Kishikawa, Aya Sasaki, Tadakazu Hisamatsu, Jiro Nishida
Clin J Gastroenterol. 2023 Sep 11. doi: 10.1007/s12328-023-01856-0.

<木村先生からのコメント>
この度、日本消化器病学会関東地方会にて発表させていただいた症例を論文として報告いたしました。このような貴重な機会を頂き、中村健二准教授をはじめとした東京歯科大学市川総合病院の先生方、および当科久松理一教授に心より感謝申し上げます。本症例は消化器症状を契機に胸部大動脈のpenetrating atherosclerotic ulcer破裂の診断に至ったというものですが、日頃の診断・治療を行う上で消化器疾患にとどまらない広い視野を持つ必要があることを再認識させられた症例でもありました。また私個人としましては初の論文投稿ということもあり、言葉通り右も左もわからない状態でのスタートではございましたが、作成にあたっては中村先生より大変丁寧なご指導をいただきました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

日本消化器病学会関東支部第375回例会において、石田拓也先生が専攻医奨励賞を受賞しました

COVID−19ワクチン接種後に中毒性巨大結腸症を発症し手術に至った潰瘍性大腸炎の一例
発表者:石田拓也、指導者:荻原良太

<石田先生からのコメント>
この度、日本消化器病学会関東支部第375回例会にて専攻医奨励賞を受賞させていただきました。このような発表の機会を頂いた消化器内科の皆様、また、ご指導頂いた荻原良太先生をはじめ、消化器内科小腸大腸班の先生方に心より感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

望月もえぎ先生のEUS-HGSによる併発症治療についての症例報告がEndoscopy誌に掲載されました

Electrohydraulic lithotripsy for ball valve syndrome due to stent-stone complex after endoscopic ultrasound-guided hepaticogastrostomy
Moegi Mochizuki, Kenji Nakamura, Kyoko Arahata, Sakiko Takarabe, Hiroshi Kishikawa, Tadakazu Hisamatsu, Jiro Nishida
Endoscopy. 2023 Dec;55(S01): E798-E799. doi: 10.1055/a-2092-4224. Epub 2023 Jun 15.


望月もえぎ先生が東京歯科大学市川総合病院出向中に作成した症例報告がEndoscopy誌に掲載されました。ご指導いただきました西田次郎病院長、中村健二准教授をはじめとした東京歯科大学市川総合病院の先生方に深く御礼を申し上げます。 中村先生からのコメントを頂きましたので、この場を借りましてご掲載させていただきます。

<中村先生からのコメント>
この度、Endoscopy E-VIDEOに、望月先生が日本消化器内視鏡学会関東地方会で発表して頂いた症例を論文にして下さったのでコメントさせて頂きます。近年、超音波内視鏡下瘻孔形成術が保険収載され、EUS-HGSを含めた胆道ドレナージの大きな選択肢になっている一方で、長期成績や偶発症に関しては、十分に示されているとは言えないと感じていました。落合先生が、EUS-HGSのステント迷入に関する危険因子を検討した興味深い論文があり、今回の論文に引用させて頂きましたが、我々もEUS-HGSは有用な一方で偶発症率が低くなく、その対処法は重要と考えております。本症例は、EUS-HGSのステントに結石を形成し、結石とステント複合体が幽門輪を超え、上部消化管閉塞症状を来した稀な症例でした。望月先生にも、今回の症例の治療を手伝ってもらっており、学会発表を相談したところ快諾してくれました。更に、症例報告ではありますが、内視鏡系の一流紙であるEndoscopyにacceptされ、望月先生のセンスの良さと年度末の慌ただしい中でしっかり論文作成をされた底力に感心させられると共に我々が刺激をもらった気がします。望月先生と杏林大学消化器内科の更なるご発展を祈っております。

齋藤大祐先生が筆頭著者となった潰瘍性大腸炎に対するLCIを用いた多施設共同研究がEndoscopy International Open誌に掲載されました

A new endoscopic scoring system corresponding to histological healing using linked color imaging in ulcerative colitis: the SOUL study.
Saito D, Hirai F, Uchiyama K, Takagi T, Naito Y, Takatsu N, Tanabe H, Kishimoto M, Matsuura M, Miyoshi J, Watanabe K, Esaki M, Naganuma M, Hisamatsu T.
Endosc Int Open. 2023 May 17; 11(5): E504-E512.
doi: 10.1055/a-2067-8943. PMID: 37206692. PMCID: PMC10191738.

<齋藤先生のコメント>
今回我々は"A new endoscopic scoring system corresponding to histological healing using linked color imaging in ulcerative colitis: the SOUL study"として、画像強調内視鏡であるLinked color imagingの有用性を報告致しました。本研究は杏林大学、京都府立医科大学、福岡大学筑紫病院の三施設による多施設共同研究として行われ、我々はLinked color imagingにおける発赤の程度(Redness)、炎症の範囲 (Area of inflammation)、リンパ濾胞(lymphoid follicles)を評価し、臨床的寛解期にある潰瘍性大腸炎患者においてLinked color imagingによるスコリングが組織学的寛解と有意に相関することを明らかにしました。御指導をいただきました久松理一教授をはじめ、SOUL Studyに御協力をいただきました皆様方に深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

杏林大学病院でWorld IBD Day 5月19日にライトアップを行いました

炎症性腸疾患(IBD)に対する社会的な理解を深め啓発していくため、5月19日はWorld IBD Dayに制定され、世界中で様々なイベントが開催されています。その一環として、当日は世界中のランドマークでIBDのシンボルカラーとされている紫色のライトアップを行っております。このWorld IBD Dayの趣旨に賛同し、当院でも5月19日に外来棟を紫色にライトアップを行いました。今後もIBD患者様をはじめ全ての患者様により良い医療を提供できるよう活動してまいります。

三好潤先生の炎症性腸疾患の日常診療における腸管超音波検査の実施・評価方法についての総説がIntestinal Research誌に掲載されました

First aid with color atlas for the use of intestinal ultrasound for inflammatory bowel disease in daily clinical practice.
Miyoshi J, Morikubo H, Yonezawa H, Mori H, Hisamatsu T.
Intest Res. 2023;21(2):177-188. doi: 10.5217/ir.2023.00003.

<三好先生からのコメント>
炎症性腸疾患(IBD)診療における腸管超音波検査(IUS)の有用性についての認識が広まっています。一方、日常診療でIBDに対するIUSを利用している施設は限られているのが現状です。その理由の一つとして、IBD-IUSの具体的な手順や画像の評価についての「実践的」教育資材が十分ではないことがあると考えられます。そこで、我々は、「『日常臨床でのIBD-IUS実施』にあたり手元にあると便利な資料」となることを目指し、最近の論文・エビデンス等の紹介にとどまらず、当施設での実臨床での検査画像を多数用いながら本総説を執筆いたしました。IBD-IUSの普及に少しでもお役立ていただければ幸いです。

日比則孝先生、和田晴香先生が博士号(医学)を取得しました

日比則孝
学位論文題目:腸管マクロファージにおけるIL-1Rを介したIL-10産生機序の解明

和田晴香
学位論文題目:5-ASAの抗炎症作用機序の一部は腸内細菌叢の変化を介する

<和田晴香先生コメント>
この度、大学院医学研究科博士課程の所定単位の修得、学位論文審査および最終試験の合格を以て、博士(医学)の学位を取得いたしました。光栄なことに、先日挙行された学位記授与式では、総代として学位記を受け取る機会を賜りました。熱心にご指導くださった久松教授、三好講師を始めとした消化器内科学教室の先生方および、研究にご尽力くださった本学顕微解剖学教室、学外施設の皆様に心より感謝申し上げます。恵まれた環境の中で、多くの学びを得た大学院生活でした。今後、培ってきたことを最大限発揮し、さらに勉学に勤しみ、より一層邁進する所存です。誠にありがとうございました。

久松理一教授が主任研究者を務めているiCREST-CD studyの中間解析結果の論文が日本消化器病学会奨励賞を受賞しました

Characteristics of adult patients newly diagnosed with Crohn's disease: interim analysis of the nation-wide inception cohort registry study of patients with Crohn's disease in Japan (iCREST-CD). Matsuoka K, Fujii T, Okamoto R, Yamada A, Kunisaki R, Matsuura M, Watanabe K, Shiga H, Takatsu N, Bamba S, Mikami Y, Yamamoto T, Shimoyama T, Motoya S, Torisu T, Kobayashi T, Ohmiya N, Saruta M, Matsuda K, Matsumoto T, Nakase H, Maemoto A, Shinzaki S, Murata Y, Yoshigoe S, Sasaki A, Yajima T, Hisamatsu T. J Gastroenterol. 57:867-878, 2022
doi: 10.1007/s00535-022-01907-2. Epub 2022 Aug 5.

長崎で行われた第36回日本消化器病学会総会で筆頭著者の松岡克善教授 (東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科)が代表で日本消化器学会奨励賞を受賞しました。

<松岡克善教授のコメント>
この度は、栄えある日本消化器学会奨励賞を受賞できて、非常に光栄に感じています。iCREST-CD studyは、2016年6月以降に新規にクローン病と診断された患者672名を登録し、前向きに4年間経過を調べるコホート研究です。杏林大学を始めとして全国の炎症性腸疾患を専門とする19施設が参加しています。今回奨励賞を受賞した論文は、iCREST studyの最初の中間解析結果で、登録患者のベースライン特性を解析しました。日本のクローン病患者の疫学や、日本のクローン病診療パターンが非常にきれいに可視化できたと思います。これも、参加19施設の先生方、JSIBD臨床疫学委員会委員の先生方、一緒に研究をしているヤンセンファーマ株式会社が一致団結してiCREST-CD studyを実施してきた成果だと思います。そして、研究に参加してくださっている患者さんには心より御礼を申し上げたいと思います。iCREST-CDでは、これからも日本のクローン病治療パターン、患者の長期予後などを明らかにすることで、世界のクローン病診療に貢献できるようなエビデンスを発信していきたいと思います。今後ともご協力をよろしくお願いいたします。

土岐真朗先生と三好潤先生の研究が2023年度の日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)基盤Cに採択されました。

【研究課題】
閉塞抑制型胆道ステント開発に向けた微生物叢解析によるバイオフィルム形成機序の解明
土岐 真朗

消化管微生物叢および宿主因子に着目した肝性脳症に対する新規治療アプローチ
三好 潤

<土岐真朗先生のコメント>
まずは、本研究課題において本当に熱いご指導を賜った久松理一先生、松浦稔先生、三好潤先生、さらに研究内容や申請書作成等でご協力いただいた胆膵班のメンバーに感謝申し上げます。当院では、年間400~500件のERCP関連手技のうち、200件ほどの胆道ドレナージ術を施行しています。しかし、未だ満足の得られるような開存期間を有する安価なプラスティックステントは存在していません。ステントの長期開存期間が望めれば、手術や化学療法等の治療が予定通りに施行され、患者のQOLの改善・維持に加え、医療資源および医療経済の観点からも有益であり、研究課題として取り上げました。本研究課題については遡ること4年前(2020年度)に初めて科研費基盤Cに申請を行いました。結果、判定は"C:審査区分における採択されなかった研究課題全体の中で、上位50%に至らなかった"でした。採択されなかった主な理由を確認すると、"不十分である"とされたのが、"これまでの研究活動等から見て、研究計画に対する十分な遂行能力を有しているか"という項目でした。正直、これはすぐに改善できる内容ではありませんでしたので、久松先生、松浦先生、三好先生のご指導を仰ぎ、学内の科研費講習会や参考書で学び、2021年度、2022年度とアップデートしながら申請を行ってきました。毎年、採択されずに落ち込みましたが、幸い、評価が"B"→"A"とアップしたことが、諦めずに申請できた一つの原動力になりました。また、申請当初は参加することに意義があると正直考えていましたが、久松教授のメールで考え方を改めたことも今回採択に至った要因と考えています。そのお言葉とは、"『勝負を挑んだからと言って必ず勝てるわけではないが、勝負を挑まなければ絶対に勝てない』、『参加するだけに意義はなし。勝とうと思って参加するからこそ意義がある。』"です。研究課題に関してはここからがスタートですので気を引き締めて頑張っていこうと思います。多くの医局員の皆さんが科研費を獲得されることを祈念しております。

<三好潤先生のコメント>
このたび2023年度の日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)基盤Cに私たちが取り組んでいる「消化管微生物叢および宿主因子に着目した肝性脳症に対する新規治療アプローチ」探索プロジェクトが採択されました。これまでの研究成果(2020年度科研費基盤C)をふまえ、さらなる発展を目指す研究計画をご評価いただけたものと拝察いたします。久松理一教授をはじめとするご指導・ご支援いただいている先生方、日々一緒に研究活動を行なっている研究室メンバーに心より御礼申し上げます。科研費採択課題として、より一層の研究推進に努める責任を感じるとともに、微力ではありますが医学・医療の発展に貢献できればと考えております。引き続き、諸先生方のお力添えをいただきながら、研鑽を続けてまいりたいと存じます。

三好潤先生がInternational Bowel Ultrasound group (IBUS)の腸管エコー教育カリキュラム修了証を授与されました

炎症性腸疾患診療における腸管エコー(超音波)検査の有用性が注目されています。International Bowel Ultrasound group (IBUS)はヨーロッパから始まり、European Crohn's and Colitis Organization (ECCO)とともに同分野を世界的にリードしています。このたび三好潤講師がIBUSの腸管超音波検査教育カリキュラムを修了し、修了証を授与されました。

<三好先生よりコメント> 私たちの施設では炎症性腸疾患(IBD)診療現場で腸管超音波検査(IUS)を活用しています。IBD-IUSは病勢モニタリングツールとして注目されていますが、欧州と比べ、本邦ではまだ実施施設は限られている状況です。私たちの施設では早い時期から将来的なIBD-IUSの国際標準化も視野に入れた検査体制を構築する必要があると考えてきました。本分野をリードするIBUSではIBS-IUS教育カリキュラム(Modules 1-3)を展開し、世界各国の医師が研修に参加しています。特徴的なのは、座学や修了前筆記試験に加えて、認定施設での臨床トレーニング(Module 2)という実践的要素が組み込まれていることであり、私もドイツ・リューネブルグで研修する機会をいただきました。私たちが杏林大学付属病院で行っている検査が国際標準に十分に適うという自信を得たとともに、IBD-IUSの本邦での普及に少しでも貢献できればと思っております。 ドイツでの研修を含めIBUSカリキュラム修了にサポートいただいた久松理一教授はじめ教室員の皆様に御礼申し上げます。

松浦稔先生の潰瘍性大腸炎に対する画像強調内視鏡の有用性についての総説がDigestion誌に掲載されました

Possible Role of Image-Enhanced Endoscopy in the Evaluation of Mucosal Healing of Ulcerative Colitis.
Matsuura M, Saito D, Miyoshi J, Hisamatsu T.
Digestion. 2022 Nov 23:1-9. doi: 10.1159/000528003. Online ahead of print.

<松浦先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎における良好な臨床転帰との相関から、潰瘍性大腸炎の治療目標として粘膜治癒の達成が提唱されています。しかし、従来の内視鏡(白色光観察)による粘膜治癒の評価には、主観的な判定、観察者間のばらつき、通常の内視鏡観察では視認困難な組織学的炎症の残存など、解決すべき課題が多く残されているのが現状です。近年、NBI(Narrow band imaging)やLCI(Linked color imaging)など画像強調内視鏡(Image-Enhanced Endoscopy; IEE)が大きく進歩し、消化管悪性腫瘍の早期診断や深達度診断のみならず、潰瘍性大腸炎の粘膜治癒の評価にも応用されるようになってきました。これらの画像強調内視鏡は、従来の白色光観察では内視鏡的寛解と判定された潰瘍性大腸炎患者を層別化し、潰瘍性大腸炎の粘膜治癒評価における現在のUnmet Needsの解決につながると考えられ、当院での診療にもぜひ生かしていきたいと思います。最後になりましたが、本総説の執筆にあたり、ご指導いただきました、久松教授、三好講師、齋藤学内講師をはじめ、皆様に御礼申し上げます。今後も炎症性腸疾患の内視鏡診療の発展に少しでも貢献できるように精進して参りたいと思います。

第30回日本消化器関連学会週間(JDDW 2022)が2022年10月27日-30日に開催され、消化器内科学医局員が発表を行いました

<主題>
ワークショップ6:IBD病態を踏まえた今後の治療ストラテジー
機械学習を用いた潰瘍性大腸炎におけるウステキヌマブの有効性予測
三好 潤、森久保 拓、久松 理一

サテライトシンポジウム87
リサンキズマブのクローン病における有効性と安全性
久松理一

サテライトシンポジウム104:Back to Basics!大腸内視鏡スクリーニングのコツと新規モダリティの活用
今さら聞けない『大腸内視鏡スクリーニング』の基本
大野 亜希子

<デジタルポスター>
セッション消010:大腸(クローン病)1
クローン病患者を対象としたリサンキズマブのPhase3維持療法試験: 全体集団と日本人部分集団の結果
久松 理一、村越 かおる、大野 浩太、仲瀬 祐志

セッション消074:小腸(炎症性腸疾患)
炎症性腸疾患の再燃に及ぼす併用薬と生活習慣の大規模探索研究
森久保 拓、長浜 誉佳、永井 克彦、山崎 大、小林 拓

セッション内075:悪性胆道狭窄(ERCP関連)2
悪性胆道狭窄に対するanti-reflux metal stent (ARMS) の使用経験
落合 一成、土岐 真朗、山田 貴大、川本 翔、神林 孔明、野坂 岳志、権藤 興一、渡邉 俊介、久松 理一

渡邉俊介先生の縦郭膵仮性嚢胞に対する内視鏡治療の論文がDEN Open誌に掲載されました

Successful treatment of mediastinal pancreatic pseudocyst and pancreatic pleural effusion with endoscopic pancreatic duct drainage: A case report
Shunsuke Watanabe, Masao Toki, Komei Kambayashi, Shuichi Kitada, Takeshi Nosaka, Kazushige Ochiai, Koichi Gondo, Junji Shibahara, Tadakazu Hisamatsu
DEN open. 2022 Jun 5;3(1):e133. doi: 10.1002/deo2.133. eCollection 2023 Apr.

<渡邉先生からのコメント>
膵仮性嚢胞は急性膵炎、慢性膵炎の合併症として広く認知されています。多くは膵臓周囲や後腹膜腔に見られますが、まれに縦隔に及ぶこともあります。縦隔膵仮性嚢胞に対する治療として、外科治療、内視鏡治療(超音波内視鏡下ドレナージ術や経乳頭的ドレナージ術)、薬物治療などの報告がありますが、未だ最適な治療法については定まっていないのが現状です。本症例では、内視鏡的経乳頭的に膵管にアプローチし、縦隔嚢胞に直接ドレナージチューブを留置することにより、縦隔膵仮性嚢胞を治癒することに成功しました。この方法を選択するうえで、内視鏡治療前の詳細な画像評価が重要であると考えます。本症例では、造影CT検査と、CT画像を元に得られた3-D再構築画像によって、主膵管と縦隔膵仮性嚢胞の交通が示されたことが、内視鏡的経乳頭的な治療を選択した大きな要素でありました。様々な内視鏡治療技術がある中で、詳細な画像評価によってより低侵襲な治療法を選択できたと考えます。 本論文の作成にあたり、ご指導頂きました消化器内科学久松理一教授と、共に内視鏡治療を行い、論文作成のご指導もして頂いた土岐先生をはじめとする胆膵グループの先生方に厚く御礼申し上げます。

杏林大学医学部消化器内科が参加していた「中等症から重症のクローン病患者に対するリサンキズマブ(抗IL-23p19モノクローナル抗体)の第3相国際共同治験」の成績がLancet誌に掲載されました

Risankizumab as induction therapy for Crohn's disease: results from the phase 3 ADVANCE and MOTIVATE induction trials
Geert D'Haens, Remo Panaccione, Filip Baert, Peter Bossuyt, Jean-Frederic Colombel, Silvio Danese, Marla Dubinsky, Brian G Feagan, Tadakazu Hisamatsu, Allen Lim, James O Lindsay, Edward V Loftus Jr, Julian Panés, Laurent Peyrin-Biroulet, Zhihua Ran, David T Rubin, William J Sandborn, Stefan Schreiber, Ezequiel Neimark, Alexandra Song, Kristina Kligys, Yinuo Pang, Valerie Pivorunas, Sofie Berg, W Rachel Duan, Bidan Huang, Jasmina Kalabic, Xiaomei Liao, Anne Robinson, Kori Wallace, Marc Ferrante Lancet 2022; 399: 2015-30
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00467-6

Risankizumab as maintenance therapy for moderately to severely active Crohn's disease: results from the multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, withdrawal phase 3 FORTIFY maintenance trial
Marc Ferrante, Remo Panaccione, Filip Baert, Peter Bossuyt, Jean-Frederic Colombel, Silvio Danese, Marla Dubinsky, Brian G Feagan, Tadakazu Hisamatsu, Allen Lim, James O Lindsay, Edward V Loftus Jr, Julián Panés, Laurent Peyrin-Biroulet, Zhihua Ran, David T Rubin, William J Sandborn,Stefan Schreiber, Ezequiel Neimark, Alexandra Song, Kristina Kligys, Yinuo Pang, Valerie Pivorunas, Sofie Berg, W Rachel Duan, Bidan Huang, Jasmina Kalabic, Xiaomei Liao, Anne Robinson, Kori Wallace, Geert D'Haens Lancet 2022; 399: 2031-46
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00466-4

<久松教授からのコメント>
杏林大学医学部消化器内科が参加していた「中等症から重症のクローン病患者に対するリサンキズマブ(抗IL-23p19モノクローナル抗体)の第3相国際共同治験」の成績がLancet誌に掲載されました。寛解導入試験と維持試験のダブル掲載になりました。IL-23p19蛋白を標的とした治療は皮膚科領域の乾癬などで先行していますが、本試験により炎症性腸疾患の分野で初めて有効性が確認されました。 炎症性腸疾患の分子標的治療は目覚ましい勢いで進歩しており、現在も数多くの治験が行われており、多くは国際共同治験の体制をとっています。現在、杏林消化器内科は主だった国際共同治験にほぼ全て参加しておりその実績は国内外で評価されています。今回、私が著者に含まれているのもそういう背景があることが理由です。一生懸命治験実施に協力してくれた医局員、治験管理室並びにコーディネーターの方々、そして何より参加していただいた患者さまに感謝いたします。今後もIBD治療の発展のために治験に積極的に参加し、国際的に杏林のプレゼンスを高めていきたいと思います。
文責) 杏林大学医学部消化器内科教授 久松理一

日本内科学会英文誌Internal Medicineの2021年度Award for Outstanding Reviewersを三好潤講師が受賞しました

日本内科学会英文誌Internal Medicineでは、同誌への貢献が大きいと認められた査読者(reviewer)3名に各年度のAward for Outstanding Reviewersが贈られます。このたび、三好潤講師が2021年度の同賞に選出されました。

<三好先生からのコメント>
Internal Medicine誌の2021年度Award for Outstanding Reviewersを受賞し、大変光栄に存じます。査読(review)は研究者の相互検証により学術論文の質を担保、向上するために不可欠です。自身の論文執筆はもちろんのこと、査読によっても、微力ではありますが医学・医療の進歩に貢献できればと思っております。

久松理一教授が第119回日本内科学会講演会のシンポジウムで講演を行いました

第119回日本内科学会講演会
シンポジウム3:分子標的薬が変える内科学

分子標的治療薬登場による炎症性腸疾患診療のパラダイムシフト
久松理一

久松理一教授が第119回日本内科学会講演会 (2022年4月17日 京都市勧業館・ロームシアター京都&Web配信)のシンポジウムで講演されました。
シンポジウム3:分子標的薬が変える内科学では各内科領域における分子標的治療の進歩が特集されました。この中で消化器内科分野の代表として久松理一教授が『分子標的治療薬登場による炎症性腸疾患診療のパラダイムシフト』という演題で講演されました。内科学会講演会でのシンポジウム講演は非常に名誉なことです。(文責 三好 潤)


<久松教授からのコメント>
今回、名誉ある内科学会講演会で発表する機会をいただき大変光栄に思っています。炎症性腸疾患における分子標的治療の進歩はめざましいものがあり、治療体系が大きく変わってきたということを専門以外の内科学会会員の方々に知ってもらえる機会になったのなら嬉しいです。

初期研修医の野口伸一朗先生と医学部6年生の中口美央先生が第119回日本内科学会講演会の医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2022 京都で発表を行いました

セッション:消化器④
腹腔鏡下胆嚢摘出術で使用した金属クリップを核として形成された総胆管結石の一例
発表: 初期研修医 野口伸一朗、メンター: 消化器内科学 野坂岳志

セッション:消化器⑤
強皮症に合併した横行結腸軸捻転症に対し内視鏡による捻転解除をしえた1例
発表: 医学部6年 中口美央、メンター: 消化器内科学 荻原良太

初期研修医の野口伸一朗先生と医学部6年生の中口美央先生が第119回日本内科学会講演会(2022年4月17日 京都市勧業館・ロームシアター京都&Web配信)の医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2022 京都で発表を行いました。

<荻原先生からのコメント>
日本内科学会ことはじめ2022で、杏林大学医学部6年の中口美央さんに共同演者として発表の指導を行いました。発症演題は「強皮症に合併した横行結腸軸捻転に対し内視鏡による捻転解除をしえた1例」です。
結腸軸捻転症は腸閉塞の原因として知られていますが、横行結腸に認めたものは非常に稀であり、その発症機序や治療方針に関しては確立された報告はありません。限られた既報文献の中から、背景疾患や治療法を確認し、本症例において「なぜ軸捻転を生じたのか」、「なぜ捻転解除しえたのか」を考えながらスライドを作成しました。
発表者の中口さんは学会発表やスライド作成が初めてで、コロナ禍でなかなか打ち合わせができない状況でしたが、自分から積極的に国内外の文献を検索し、自分なりの考察や疑問点を持ってくれたことを、非常に嬉しく思いました。
最後になりましたが、久松教授、松浦准教授、三好講師、櫻庭先生をはじめ、発表にあたりご指導頂いた先生方に深く御礼申し上げます。

第108回日本消化器病学会総会で消化器内科学医局員が発表を行いました

第108回日本消化器病学会総会(2022年4月21-23日 京王プラザホテル&Web配信)で消化器内科学医局員が発表を行いました。

<主題>
ワークショップ1: マイクロバイオーム解析による消化器疾患の病態解明と応用
5-アミノサリチル酸の抗炎症作用機序における腸管微生物叢の関与
三好潤,和田晴香,久松理一

ワークショップ5: 老化と消化器がんの病態・診療
高齢者早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術施行後の長期予後に関する検討
大野亜希子,楠原光謹,久松理一 

ワークショップ12: 肝疾患の画像情報による病態解明と診療応用
CAP、ATIによる脂肪肝の評価
川村直弘,森秀明,久松理一
 
パネルディスカッション3: 炎症性腸疾患の病態からみた診療を考える
潰瘍性大腸炎患者に対するVedolizumab治療による内視鏡的寛解の予測因子と長期経過に関する検討
斎藤大祐,松浦稔,久松理一

キャリア支援委員会特別企画(女性医師支援)
当科における女性医師のキャリアアップと女性医師支援の現状
林田真理

<一般演題>
中等症から重症のクローン病患者に対するリサンキズマブ導入療法: 国際共同第3相導入療法試験(ADVANCE)における全体集団及び日本人部分集団の結果
久松理一,村越かおる,大野浩太,仲瀬裕志 

第1回 Interventional IBD研究会 "IBD診療における消化器内視鏡の可能性を探る"
腸閉塞を繰り返す非特異性多発性小腸潰瘍症の小腸狭窄に対して内視鏡的拡張術を施行した一例
徳永創太郎,松浦稔,齋藤大祐,箕輪慎太郎,三井達也,久松理一

三好潤先生の腸管エコー検査により潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を推定する新たな評価方法についての論文がJournal of Gastroenterology誌に掲載されました

Ratio of submucosal thickness to total bowel wall thickness as a new sonographic parameter to estimate endoscopic remission of ulcerative colitis.
Miyoshi J, Ozaki R, Yonezawa H, Mori H, Kawamura N, Matsuura M, Hisamatsu T.
J Gastroenterol. 2022. doi: 10.1007/s00535-021-01847-3. PMID: 35072789.

<三好先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎における診断、病勢評価のゴールドスタンダードは内視鏡検査であり、内視鏡的寛解が長期的予後に重要であることが示されています。一方、内視鏡検査は患者様へのご負担などを考えると頻繁に実施することは困難であり、最近では、侵襲なく繰り返し検査できるモニタリングツールとして腸管エコー検査が注目、期待されています。そして、潰瘍性大腸炎における内視鏡的寛解を推測する簡便な腸管エコー評価方法を確立することは、重要な臨床的課題と考えられます。 今回、我々は、粘膜下層が腸管全層に占める割合(submucosa index, SMI)という新たな指標を考案し、このSMIが潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を推測する腸管エコー所見の一つとして有用と考えられることを報告しました。SMIは、カラードプラ法を用いず、Bモードの観察のみで評価できること、計測値から定量的に評価できることが利点と考えています。 本研究の実施にあたり、ご協力、ご指導いただきました、久松教授、森教授をはじめとする皆様に御礼申し上げます。引き続き、炎症性腸疾患診療における腸管エコー検査の手技、評価方法の確立、普及に努めて参りたいと考えております。

国立病院機構埼玉病院消化器内科に出向中の白川貴大先生が、第57回日本肝臓学会総会研修医・専修医セッション1で優秀賞を受賞しました

当科より独立行政法人国立病院機構埼玉病院消化器内科に出向中の白川貴大先生が、第57回日本肝臓学会総会研修医・専修医セッション1で「ニボルマブ・イピリムマブ併用療法による胆汁鬱滞型肝障害に対し,ミコフェノール酸モフェチルが奏功した一例」の発表を行い、優秀賞を受賞しました。

<白川貴大先生よりコメント>
このたび、第57回日本肝臓学会総会において、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法による胆汁鬱滞型肝障害に対し,ミコフェノール酸モフェチルが奏功した一例を報告し、研修医・専修医セッション1優秀賞を受賞いたしました。今後、免疫チェックポイント阻害薬の使用は増加していくと思われ、免疫関連副作用(immune-related adverse event; irAE)の理解、対応法の確立は、ますます重要となると考えられます。私自身にとっても大変貴重な機会となりました。細田先生をはじめ、ご指導いただいた指導医の先生方に心より御礼申し上げます。今後とも、よろしくお願いいたします。

森秀明教授が大会長を務める第41回日本画像医学会学術集会が2022年2月18日・19日に開催されます

 このたび2022年2月18日(金)~19日(土)にかけて第41回日本画像医学会を開催させていただくことになりました。本学会は臨床医、放射線科医、病理医の3者の連携によって運営されている学会であり、過去の学術集会でもこの特色を活かしたプログラムが組まれてきました。今回の学会のテーマも本学会のこれまでの伝統を踏襲して、「臨床、画像、病理(CRP)の融合」にさせていただきました。「融合」を国語辞書で調べますと「とけあって一つのものになること」と記載されています。すなわち臨床医が患者さんの病態から疾患を推論し、画像所見や病理所見から最終診断に至る過程がまさに「臨床の現場における3者の融合」であると思います。またこのことは臨床の現場だけでなく研究や若手の医師の教育に関しても重要と思われます。

 プログラムの大枠は臓器別のシンポジウム、総合診療セミナー(生涯教育・研修医セミナー)、レントゲンカンファレンス、画像診断ドクターR、ランチョンセミナー(産学共催セッション)、一般演題を予定しております。

 昨年度前半は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で社会生活や経済活動が一変した1年間でした。学術活動に関しても大きな影響を受け、春先には各領域の学術集会や研究会の開催の中止が相次ぎましたが、秋以降は新たな開催方式であるウェブ開催が行われるようになってきました。第41回日本画像医学会学術集会に関しましては現時点では例年通りJR東京駅の日本橋口から直結したステーションコンファレンス東京での開催を予定しております。一日も早い社会情勢の回復を祈念しながら準備を進めさせていただきたいと思います。

 今回の学術集会でも、「臨床、画像、病理の融合」による疾患の概念や病態の理解と日常臨床の場で活用できる知識ならびに若手の医師や研究者の支援になるような学術集会を開催できればと考えております。ぜひ多くの臨床医、放射線科医、病理医の皆様にご参加いただき、有意義な学術集会となりますようご指導お願い申し上げます。


2021年12月吉日

第41回日本画像医学会
大会長 森 秀明
杏林大学医学部消化器内科学


【開催概要】
会 期: 2022年(令和4年)2月18日(金)~ 19日(土)
会 場: ステーションコンファレンス東京 
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12サピアタワー
TEL:03-6888-8080
テーマ: 「臨床、画像、病理(CRP)の融合」
ホームページ:第41回日本画像医学会学術集会 http://www.gazoigaku.gr.jp/41mtg/
事務局:杏林大学医学部消化器内科学
〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
事務取扱 日本画像医学会

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三浦みき先生の本邦の炎症性腸疾患患者におけるEpstein-Barr virus(EBV)感染状況に関する多施設共同研究がJournal of Gastroenterology誌に掲載されました。

Multicenter, cross-sectional, observational study on Epstein-Barr viral infection status and thiopurine use by age group in patients with inflammatory bowel disease in Japan (EBISU study)

Miki Miura, Hirotaka Shimizu, Daisuke Saito, Jun Miyoshi, Minoru Matsuura, Takahiro Kudo, Daisuke Hirayama, Masashi Yoshida, Katsuhiro Arai, Itaru Iwama, Hiroshi Nakase, Toshiaki Shimizu, Tadakazu Hisamatsu.
J Gastroenterol. 2021 Dec;56(12):1080-1091.
PMID: 34591171, DOI: 10.1007/s00535-021-01832-w

<三浦先生からのコメント>
炎症性腸疾患(IBD)は若年層で発症し、我が国でも年々患者は増加しており、今後もさらに増加することが予想されています。中等症以上のIBDの治療として、ステロイド、タクロリムス、アザチオプリン、抗TNFα抗体などの種々の免疫抑制性の薬剤が使用されます。
Epstein-Barr virus(EBV)感染は、わが国では大多数が小児期に初感染し、不顕性に経過するとされていましたが、近年先進国では衛生状況の改善に伴い、若年者における未感染者割合が増加してきていることが報告されています。EBVはBurkittリンパ腫や上顎癌などの悪性腫瘍に加え、免疫不全状態や臓器移植後に発生する血球貪食性リンパ組織球症(HLH)にも関与しており、IBD患者ではEBV未感染者においてチオプリン製剤を併用した場合にHLHのリスクが増加するという報告があります。近年、小児IBD患者も増加してきており、小児期から免疫抑制治療を行わなければならないケースも増えてきていますが、現在のIBD患者におけるEBV既感染率(抗体保有率)は明らかになっていません。
本研究は杏林大学医学部消化器内科を中心に、国立成育医療研究センター、札幌医科大学消化器内科、順天堂大学小児科、埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科の5施設で小児を含めたIBD患者495症例を対象にEBV抗体価を測定し、年齢別のEBV既感染率やIBD治療薬(とくにチオプリン製剤や生物学的製剤)の使用状況を比較しました。結果、20歳代でもEBV未感染患者が約30%であり、チオプリン使用患者の約28%はEBV未感染者でした。チオプリン使用によるHLH症例は認めませんでした。
現在も未感染患者の前向き研究を継続しており、未感染患者の初期感染の時期や症状などの解析を予定しております。本研究により、IBD治療におけるEBV感染症との関連の現状の把握と今後の解析につながればよいと思っております。

2021年度日本消化器関連学会週間(JDDW 2021)において三好潤先生が若手奨励賞を受賞しました

2021年11月4日−7日に開催されたJDDW 2021において三好潤先生が「機械学習を用いた潰瘍性大腸炎におけるベドリズマブ の有効性予測」の発表で若手奨励賞を受賞しました。

<三好先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎治療において治療選択肢が増える一方で、個々の患者さんに最適な治療薬を治療開始前に予測する方法が確立していないことは、重要な臨床的課題です。本研究では、潰瘍性大腸炎治療に用いられる分子標的薬の一つであるベドリズマブに注目し、新規性の高い機械学習を用いたアプローチにより、治療効果予測ツールの開発を目指しました。本研究の成果は、潰瘍性大腸炎における治療薬選択の最適化、個別化診療に向けた第一歩と期待しています。今後も研究の発展に努めてまいります。
本研究の実施、発表にあたり多大なるご協力をいただきました岐阜大学工学部電気電子・情報工学科田村哲嗣先生、前田翼さん、東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科松岡克善教授に御礼申し上げます。

第16回医学部共同研究プロジェクト・若手支援研究費・ユニーク研究助成・研究奨励賞の各研究費・賞を消化器内科医局員が獲得しました

共同研究プロジェクト
研究代表者:三好 潤 先生
研究課題:妊娠経過中・分娩後の母体における微生物叢の推移と出生児における微生物叢の発達


<三好先生からのコメント>
このたび2021年度杏林大学医学部共同研究プロジェクトに、研究課題「妊娠経過中・分娩後の母体における微生物叢の推移と出生児における微生物叢の発達」が採択されました。本プロジェクトは、消化器内科学、産科婦人科学、小児科学、微生物学が共同で推進しているものです。関係各位に御礼を申し上げるとともに、ますます研究を発展させるべく励んでまいります。今後とも皆様のご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。


若手支援研究費
申請者:大野 亜希子 先生
研究課題:ブタモデルを用いた食道ESD術後狭窄に対する新規予防法(新ステロイド局注液混入法)の研究


<大野先生からのコメント>
 この度は、医学部若手支援研究費に採用していただき、誠にありがとうございます。
私がライフワークとしている早期癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic submucosal resection)は近年新しい治療選択肢として急速に発展する一方で、その適応が拡大した結果直面している課題もございます。今回早期食道癌治療後に発生する術後狭窄に対するステロイドを用いた新たな予防方法を考案し、切除後ブタ食道を用いた研究を進めたいと考え応募させていただきました。今回の研究費の御支援のおかげで、本研究活動に全力を注ぐことができるものと大変有難く思っております。
今回の御支援を期に、研究する能力をしっかりと身につけるとともに得られた新しい知見をもとに臨床に寄与できるように、努めて参りたいと存じます。御支援、御指導いただいている全ての方々に心からお礼申し上げます。


ユニーク研究助成
申請者:川村 直弘 先生
研究課題:腹部超音波検査教育におけるオンライン動画学習資料の作成による教育効果


<川村先生からのコメント>
この度は、「腹部超音波検査教育におけるオンライン動画学習資料の作成による教育効果」というタイトルでユニーク研究助成に採択いただきましたことを大変光栄に思います。
超音波検査は低侵襲でありながら臨床上まず最初に行う検査としてとても有用な検査ではあります。しかし、言うほど簡単な検査ではなく画像を作り出すこと、読影するという技術と知識を持ち合わせなければいけません。若い先生方の診察する手と同様に超音波検査診断装置を役立てることができるように動画学習資料を作成しようと思いたちました。


研究奨励賞
申請者:林田 真理 先生
研究課題:ペーチェット病患者における小腸病変スクリーニング検査としての便バイオマーカーの有用性


<林田先生からのコメント>
この度は、2021年度研究奨励賞を頂き大変光栄に存じます。ベーチェット病の小腸病変の実態はまだ解明されていないことが多く、今後も眼科や腎臓リウマチ膠原病科、皮膚科などと引き続き連携を図り、実態の解明に努めてまいりたいと思っております。
最後に、本研究課題に関し、多大なご指導を賜りました久松理一教授ならびに三好 潤学内講師に心より御礼を申し上げます。

第10回杏林医学会研究奨励賞を消化器内科医局員が受賞しました

三好 潤 先生
Miyoshi J, Saito D, Nakamura M, Miura M, Mitsui T, Kudo T, Murakami S, Matsuura M, Hisamatsu T.
Half-Elemental Diet Shifts the Human Intestinal Bacterial Compositions and Metabolites: A Pilot Study with Healthy Individuals.
Gastroenterol Res Pract. 2020;2020:7086939.


<三好先生からのコメント>
このたび「Half-Elemental Diet Shifts the Human Intestinal Bacterial Compositions and Metabolites: A Pilot Study with Healthy Individuals」(Gastroenterol Res Pract. 6;2020:7086939.)について第10回杏林医学会研究奨励賞を受賞いたしました。日頃よりご指導いただいている久松理一教授、論文共著者の皆様に心より感謝申し上げます。本研究はクローン病治療に用いられる成分栄養剤(elemental diet, ED)がヒト腸内微生物叢に与える影響を検討したものです。今後も、炎症性腸疾患の病態生理の解明や新たな治療法の開発を目指して腸内微生物叢に着目した研究を進めてまいりたいと存じます。ご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

大野 亜希子 先生
Ohno A, Miyoshi J, Kato A, Miyamoto N, Yatagai T, Hada Y, Kusuhara M, Jimbo Y, Ida Y, Tokunaga K, Okamoto S, Hisamatsu T.
Endoscopic severe mucosal atrophy indicates the presence of gastric cancer after Helicobacter pylori eradication -analysis based on the Kyoto classification.
BMC Gastroenterol. 2020;20(1):232.


<大野先生からのコメント>
この度、「第10回杏林医学会研究奨励賞」を賜り、大変光栄に存じます。思いがけない受賞に驚いたのと同時に、より一層臨床と研究活動に尽力しなければと身の引き締まる思いがいたしました。
本研究は、日々の診療でピロリ菌除菌後の胃で早期胃癌の発見や範囲診断に難渋する症例に多く遭遇することに端を発して、除菌後にも胃癌が発生する胃粘膜とはどのような胃なのか、その内視鏡的特徴を検討したものです。本研究と論文作成にあたり、久松理一教授、松浦稔准教授、三好潤学内講師から多くのご指導を頂き、日常の疑問点や解決すべきことを明らかにしていくことの大切さを学ばせていただきました。また大切な症例を丁寧に集めてくれた内視鏡治療チームの先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今後はピロリ除菌後に患者さんにどのような間隔で定期的な内視鏡検査を勧めていくべきか、さらに研究を進めて参りたいと考えております。今回の経験を糧に、より一層の努力をしていく所存です。

大野亜希子先生の胃・十二指腸潰瘍に関する総説が日本消化器内視鏡学会雑誌に掲載されました

胃・十二指腸潰瘍出血の時代的変遷
大野亜希子、宮本尚彦、久松理一
消化器内視鏡学会雑誌 Vol.63(10), Oct. 2021. 2173-2182.

<大野先生からのコメント>
かつて日本人の国民病ともいわれた胃・十二指腸潰瘍出血は、H2ブロッカーの開発、ピロリ菌の発見、内視鏡関連機器の発展によって、疾患を取り巻く状況が大きく改善しました。しかし現在も胃・十二指腸潰瘍出血は救急を要する疾患であり、我々内視鏡医が出血に対して緊急処置を行う際は、最も緊張する瞬間であります。そして残念ながら一定頻度で死亡例は存在し、課題は残されています。この度、日本内視鏡学会雑誌総説を書かせていただく機会をいただきましたので、杏林大学での成績を中心に、潰瘍出血の背景が四半世紀でどのように変化してきたのかを検討いたしました。

日本消化器病学会関東支部第366回例会において荻本直尭先生が専修医奨励賞を、澁田秀則先生が研修医奨励賞を受賞しました

2021年9月18日にWEBにて開催された日本消化器病学会関東支部第366回例会において、荻本直尭先生が専修医奨励賞を、澁田秀則先生が研修医奨励賞を受賞しました。

荻本先生が発表した演題は、「胆管内への膨張性発育を呈した肝外胆管神経内分泌癌の1例」です。胆管神経内分泌癌は、切除症例においても、リンパ・脈管侵襲、胆管壁外浸潤を多くの症例で認められるとの報告もありますが、本症例はKi67陽性率80%以上と増殖能が高く、30mm大と比較的大きいものの、リンパ・脈管侵襲、胆管壁外浸潤は認めず、早期発見早期治療に至った稀な症例で、肝胆膵外科、病理学教室と合同での発表です。

<荻本先生からのコメント>
この度、専修医奨励賞の受賞にあたり、このような発表の機会を頂いた日本消化器病学会関東支部第366回例会会長の久松理一教授や消化器内科の皆様、また、ご指導頂いた権藤興一先生をはじめ、消化器内科胆膵班の先生方に心より感謝申し上げると共に、今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

荻本直尭先生

荻本先生と指導にあたった消化器内科胆膵班メンバー

<澁田先生からのコメント>
この度、研修医奨励賞の受賞にあたり、このような発表の機会を頂いた消化器内科の皆様、また、ご指導頂いた齋藤大祐先生をはじめ、消化器内科小腸大腸班の先生方に心より感謝申し上げると共に、今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します

左から久松理一教授、研修医 澁田秀則先生、指導医 齋藤大祐先生、藤麻武志先生

久松理一教授が当番会長を務めた日本消化器病学会関東支部第366回例会が開催されました

<日本消化器病学会関東支部第366回例会(当番会長 久松理一)報告>
2021年9月18日 日本消化器病学会関東支部第366回例会当番会長を務めさせていただきました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催形式は迷いましたが、若い演者の先生方にLIVE感を体感してほしくて関東支部例会初のWEB完全LIVE方式とさせていただきました。93演題、参加者約740名と多くの方に参加いただき、特にトラブルもなく盛会に終えることができました。特別講演では東京大学医科学研究所の谷口英樹先生に本当に素晴らしいご講演をいただけたこと本当に感謝しています。ドクターガストロも土岐先生が中心となりいろいろな制約の中、事前収録という形で挑戦していただきました。発表では荻本先生が専修医奨励賞、澁田先生が研修医奨励賞を受賞し、症例を大事にする杏林消化器内科の面目躍如を果たしてくれました。他の発表もたいへん素晴らしかったと思います。本当にいい流れが出てきていると感じました。
思えば昨年の市民公開講座は初めてのWEB開催を成功させ、今回は例会として初めてWEB完全LIVEに挑戦とwith コロナ時代に少し爪痕を残せたのではないかなと思います。事務局長を務めてくれた松浦准教授をはじめ医局の先生方に心から感謝いたします。

昨年の市民公開講座と今回の関東支部例会は杏林に赴任して以来はじめての当番世話人で、かつコロナ禍という状況でしたが無事成功させたことは私にも医局にも自信になったと思います。いい仕事は一人ではできないですから医局一丸となり、ときに切磋琢磨しながら杏林消化器内科は凄い!と言われるようになっていけたらと思います。

文責 久松理一

左から林田真理医局長, 久松理一教授, 松浦稔准教授, 土岐真朗講師

左から久松理一教授, 松浦稔准教授

講演する久松理一教授

三好潤先生の中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対するウステキヌマブ治療の安全性についての総説がExpert Opinion on Drug Safety誌に掲載されました

Safety evaluation of ustekinumab for moderate-to-severe ulcerative colitis.
Miyoshi J, Matsuura M, Hisamatsu T.
Expert Opin Drug Saf. 2021 Sep 11. doi: 10.1080/14740338.2021.1980536. Epub ahead of print. PMID: 34511011.

<三好先生からのコメント>
抗IL-12/23p40抗体製剤であるウステキヌマブは、潰瘍性大腸炎に対して、米国・欧州で2019年、本邦では2020年より使用されるようになった薬剤です。今回の総説では、特に安全性に注目しながら、潰瘍性大腸炎におけるウステキヌマブ治療に関する世界各国からの報告を幅広くレビューしました。また、COVID-19感染拡大の状況をふまえ、まだ明らかではない点は多くありますが、現在までに報告されている内容についてご紹介しています。今後、ウステキヌマブがますます広く用いられることにより、本剤の有効性・安全性についての知見がさらに蓄積されてくると考えております。本総説は、あくまで現時点での見解とはなりますが、日常臨床に役立つ情報の一つとなれば幸いです。

久松理一教授のCOVID-19流行下における炎症性腸疾患のマネジメントに関する論文がImmunological Medicine誌に掲載されました

Management of inflammatory bowel disease during the COVID-19 pandemic.
Tadakazu Hisamatsu.
Immunol Med. 2021 Sep 16 doi: 10.1080/25785826.2021.1978205.

<久松教授からのコメント>
新型コロナウイルス感染拡大は炎症性腸疾患の診療にも大きな影響を与えています。
特に炎症性腸疾患治療では免疫を調節する薬剤を多く使いますので、患者さんや主治医医の先生の不安も大きいです。またワクチン接種をどう考えるかなど新たな対応も必要とされています。日本臨床免疫学会の英文機関誌であるImmunological Medicineからinvited reviewの依頼がありましたので簡単にまとめてみました。あくまでも現段階での見解ですが、さらっと読むには手頃かなと思います。

齋藤大祐先生の潰瘍性大腸炎におけるvedolizumabによる寛解導入療法の予後予測因子についての論文が, Journal of Gastroenterology and Hepatology Open誌に掲載されました

Clinical response of vedolizumab at week 6 predicted endoscopic remission at week 24 in ulcerative colitis.
Daisuke Saito, Minoru Matsuura, Ryo Ozaki, Sotaro Tokunaga, Shintaro Minowa, Tatsuya Mitsui, Miki Miura, Akihito Sakuraba, Mari Hayashida, Jun Miyoshi, Tadakazu Hisamatsu,
JGH Open. 2021 Aug 26. doi:10.1002/jgh3.12630

<齋藤先生からのコメント>
Vedolizumabは腸管選択的な作用を有する分子標的治療薬です。本邦では2018年に潰瘍性大腸炎患者に対して使用可能となり、当院でも多くの症例で投与されています。今回我々はvedolizumab による寛解導入療法が行われた潰瘍性大腸炎患者52症例について検討を行い、vedolizumab投与6週時の治療反応性が24週時の内視鏡的寛解の予測因子となることを明らかにしました。現在、炎症性腸疾患に対して様々な分子標的治療薬が使用可能となっています。治療選択肢の増加は福音ですが、一方で最適症例の予測など解決すべき課題も未だに多く存在します。今後も解析を進め、今後の炎症性腸疾患診療に繋がる成果を報告出来るよう努力していきたいと思います。

三好潤先生の機械学習を用いた潰瘍性大腸炎におけるベドリズマブの治療効果予測ツールの開発についての論文がScientific Reports誌に掲載されました

Machine learning using clinical data at baseline predicts the efficacy of vedolizumab at week 22 in patients with ulcerative colitis.
Miyoshi J, Maeda T, Matsuoka K, Saito D, Miyoshi S, Matsuura M, Okamoto S, Tamura S, Hisamatsu T.
Sci Rep. 2021 Aug 12;11(1):16440. doi: 10.1038/s41598-021-96019-x. PMID: 34385588; PMCID: PMC8361029.

<三好先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎治療において、さまざまな分子標的薬が用いられるようになっています。治療選択肢が広がる一方、どの薬剤が個々の患者さんに最適なのかを治療開始前に予測する方法はいまだ確立していません。そこで、本研究では、潰瘍性大腸炎治療に用いられる分子標的薬の一つであるベドリズマブに注目し、機械学習を用いた新たなアプローチにより、治療開始前の臨床情報を用いた治療効果予測ツールの開発を行いました。本研究の成果は、将来の潰瘍性大腸炎における個別化診療に向けた第一歩となることが期待されます。本研究の実施にあたり多大なるご協力をいただきました岐阜大学工学部電気電子・情報工学科田村哲嗣先生、前田翼さん、東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科松岡克善教授に御礼申し上げます。

三好潤先生の幼少期の腸内微生物叢の発達および母体の抗菌薬曝露の影響についての総説がImmunological Medicine誌に掲載されました

The impact of maternal exposure to antibiotics on the development of child gut microbiome.
Miyoshi J, Hisamatsu T.
Immunol Med. 2021 Aug 15:1-6. doi: 10.1080/25785826.2021.1963189. Epub ahead of print. PMID: 34392799.

<三好先生からのコメント>
幼少期の腸内微生物叢発達は、宿主の健康において重要な役割を果たすことが明らかとなってきています。幼少期の腸内微生物叢は、さまざまな生活、環境因子が影響しますが、特に母体微生物叢の影響は大きいと考えられています。母体への抗菌薬投与は感染症治療などのために必要とされる一方、母体の微生物叢に変化をきたし、その変化が児の微生物叢の発達に長期的な影響を及ぼすことも想定されます。今回の総説では、幼少期の腸内微生物叢の発達および母体の抗菌薬曝露の影響について、これまでの報告を検討しました。

医学部6年の2人が第118回日本内科学会総会
「医学生・研修医のことはじめ2021」で発表しました

2021年4月10日にオンラインで第118回日本内科学会総会「医学生・研修医のことはじめ2021」が開催されました.研修医のみならず学生も発表できる数少ない内科系の学会です.コロナ禍のため例年に比べて演題数が少なく,総演題数277,消化器は35演題が選ばれました.そのうち当科から以下の3演題が採択されました.学生の2人は初めての学会発表でしたが,論文集めやスライド作りを一から行い,議論を重ねていずれも教訓と示唆に富む内容で座長とのディスカッションも大いに盛り上がりました.角田くんは優秀演題賞を受賞しました.指導にあたった宮本尚彦先生は指導教官賞を受賞しました.

発熱と膵肝胆道系酵素上昇を契機に入院となり播種性血管凝固を合併したツツガムシ病の1例
望月もえぎ(専攻医)(指導教官:箕輪慎太郎先生)

正中弓状靱帯による腹腔動脈圧迫症候群が原因となった胃Dieulafoy潰瘍の1例
角田進(医学部6年)(指導教官:宮本尚彦先生)

長期間にわたり診断が得られなかった前皮神経絞扼性症候群の2例
今井ゆうか(医学部6年)(指導教官:楠原光謹先生)

<角田さんのコメント>
新型コロナウイルスの影響で思うように動けませんでしたが、オンラインで文献を調べるなど、少しでも実臨床に近づこうと努力しました。ご指導をいただいた宮本先生には症例の原因や背景、データの読み方だけでなく、研究の面白さややりがいも教えていただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。

<今井さんのコメント>
学生の内から学会で発表することができ、とても貴重な経験をさせていただきました。内科医としての基礎を学ばせていただき、これからの活動の指針としたいです。ご指導くださった先生方は本当にありがとうございました。

左から宮本尚彦先生, 医学部6年 角田進さん, 久松理一教授,
櫻庭彰人先生, 医学部6年 今井ゆうかさん, 楠原光謹先生

落合一成先生のinterventional EUSにおけるステント逸脱に関する論文がJournal of Clinical Medicine誌に掲載されました

Risk Factors for Stent Migration into the Abdominal Cavity after Endoscopic Ultrasound-Guided Hepaticogastrostomy
Kazushige Ochiai, Toshio Fujisawa, Shigeto Ishii, Akinori Suzuki, Hiroaki Saito, Yusuke Takasaki, Mako Ushio, Sho Takahashi, Wataru Yamagata, Ko Tomishima, Tadakazu Hisamatsu, Hiroyuki Isayama
J. Clin. Med. 2021, 10(14), 3111; https://doi.org/10.3390/jcm10143111

<落合先生からのコメント>
近年、膵臓癌や胆管癌の増加に伴い、閉塞性黄疸症例が増えています。それに伴い、従来の内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)で胆道ドレナージが困難となる症例も増えてきています。ERCP不成功や術後腸管、十二指腸狭窄症例等の症例に対する胆道ドレナージ術は、これまで経皮経肝胆道ドレナージ術(PTBD)が主でしたが、PTBDはドレナージチューブが体外に置かれることで、ADLが低下する可能性や日常生活を送る上での煩わしさが問題となります。そこで、新たな胆道ドレナージ方法として超音波内視鏡下胃胆管瘻孔形成術(EUS-HGS)をはじめとした、interventional EUSが開発されました。しかし、まだ技術的な困難さと重篤な偶発症の可能性があるのが現状です。特に、ステント逸脱は手術を要する重篤な偶発症であるにも関わらず、これまでにステント逸脱リスクは十分に分かっておらず、2019年4月から2021年3月まで、順天堂大学医学部附属順天堂医院に国内留学させて頂き、interventional EUSの手技を学びつつ、EUS-HGSにおけるステント逸脱リスクを検討し、本論文を作成しました。 論文を作成するにあたり、多大なるご指導を頂きました、医学部附属順天堂医院 消化器内科 伊佐山浩通教授をはじめとした消化器内科胆膵班の先生方、また、2年間という長い期間、杏林大学医学部付属病院を離れることとなり、ご迷惑をお掛けした久松理一教授や土岐真朗先生をはじめとする消化器内科学胆膵班の皆様に厚く御礼申し上げます。

三好潤先生の幼少期の腸内微生物叢への介入により周産期の抗菌薬により生じた腸内微生物叢の乱れに起因する大腸炎のリスクを低下させるという論文がGastroenterology誌に掲載されました

Early-life microbial restitution reduces colitis risk promoted by antibiotic-induced gut dysbiosis in IL-10-/- mice.
Miyoshi J, Miyoshi S, Delmont TO, Cham C, Lee STM, Sakatani A, Yang K, Shan Y, Kennedy M, Kiefl E, Yousef M, Crosson S, Sogin M, Antonopoulos DA, Eren AM, Leone V, Chang EB.
Gastroenterology. 2021 Jun 4:S0016-5085(21)03080-8. doi: 10.1053/j.gastro.2021.05.054. Epub ahead of print. PMID: 34111469.

<三好先生からのコメント>
 本論文は、これまでに報告した論文(Miyoshi et al. Cell Rep. 2017,Miyoshi et al. Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2021)と同じく、周産期の抗菌薬投与により乱れた腸内微生物叢を早期より有するIL-10欠損マウス(IL-10という炎症を抑制するサイトカインを持たないマウス)を解析対象としました。私たちが確立した本モデルでは、周産期・小児期の抗生剤使用が後年の炎症性腸疾患(IBD)発症と関連するというヒトでの疫学的知見と同様に、後年の腸炎発症リスクが増します。  今回の研究において、私たちは、細菌をほぼ株レベルまで同定することができるメタゲノム解析技術を用い、周産期抗菌薬を投与された群においても腸炎発症率は100%ではないことに着目して、発症する群、発症しない群では異なる出現パターンを示す細菌群を見出しました。さらに、微生物学的アプローチ、全ゲノムシーケンシングにより、これまでに報告されていない細菌株(Bacteroides CL1-UC, Bc)の単離・培養に成功しました。 このBcを抗菌薬により乱れた腸内微生物叢を有するマウスに幼少期に投与、生着させると、腸炎リスクが減少しました。しかし、マウスが成長した後にBcを生着させた場合には腸炎リスクの減少は認めませんでした。本研究は、健康な免疫状態発達のために重要な「腸内微生物叢から学習する期間」が幼少期の一定時期に存在し、そこで、学ぶべき微生物が存在することを示唆しています。さらに、私たちは、本研究の結果をふまえ、炎症性腸疾患においては、「病原微生物が炎症を引き起こす」(ある意味での「機能獲得」)ではなく、「学ぶべき微生物、機会を逸していた」(ある意味での「機能喪失」)が病態生理に関与しているのではないかとも考えています。  本研究につきご指導、ご協力いただきましたシカゴ大学Eugene B. Chang教授および研究室メンバーに、お礼申し上げます。

芳鐘 一先生が日本消化器病学会関東支部第364回例会において研修医奨励賞を受賞しました

芳鐘 一先生が、2021年4月24日にWEBにて開催された日本消化器病学会関東支部第364回例会の研修医セッションにおいて、「EUS-FNAで診断し得た膵悪性リンパ腫の1例」を発表し、研修医奨励賞を受賞しました。膵悪性リンパ腫は稀な疾患であり、確定診断も切除検体による報告が多いのが現状です。今回の症例報告は、20Gの太い穿刺針を用いた超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA/B)にて免疫染色を含めた病理診断を行うのに十分な検体が採取でき、確定診断に至ったものです。

<芳鐘先生よりコメント>
この度、研修医奨励賞の受賞にあたり、このような発表の機会を頂いた消化器内科の皆様、また、ご指導頂いた権藤興一先生をはじめ、消化器内科胆膵班の先生方に心より感謝申し上げると共に、今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。

左:芳鐘一先生、右:指導医の権藤興一先生

渡邉俊介先生、野坂岳志先生が、マイベスト指導医2020を受賞しました

杏林大学医学部付属病院内の研修医のアンケートに基づくマイベスト2020に当科の渡邉俊介先生と野坂岳志先生が選出されました。

<表彰状を手にする久松先生、渡邉先生>

渡邉俊介先生のIPMN内膿瘍に対して経乳頭的膵管アプローチによりドレナージを行った症例報告がBMJ Case Reports誌に掲載されました

Utility of endoscopic transpapillary pancreatic cyst drainage for intraductal papillary mucinous neoplasm infection.
Watanabe S, Toki M, Shibahara J, Hisamatsu T.
BMJ Case Rep. 2021 Jun 4;14(6):e242583. doi: 10.1136/bcr-2021-242583. PMID: 34088692.

<渡邉先生からのコメント>
画像検査の進歩に伴い、膵嚢胞性疾患を指摘される症例が増えています。膵嚢胞性疾患の約50%は、腫瘍性の嚢胞性疾患であることが明らかとなっており、その中でも膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が最も頻度が高い疾患です。IPMNの多くは無症状で経過する疾患ですが、一部の症例ではIPMN由来膵癌、IPMN併存膵癌、他臓器癌の合併や急性膵炎などを発症することがあります。
このような有害事象との関連が示されていますが、本症例のようなIPMNに細菌感染を来し膿瘍を形成する症例は非常に稀です。急性膵炎後の膵仮性嚢胞感染に対しては、近年超音波内視鏡下嚢胞ドレナージが広く普及していますが、IPMNのような腫瘍性病変においては、腫瘍細胞を腹腔内に播種させる可能性があります。本症例では、詳細な画像評価により主膵管とIPMNの交通枝が明らかとなり、経乳頭的膵管アプローチによりIPMNへ到達、嚢胞内の膿瘍をドレナージすることに成功しました。腫瘍細胞の播種、感染物質の腹腔内漏出を予防できる安全かつ低侵襲な治療法であったと考えております。
論文を作成するにあたり、ご指導頂きました消化器内科学久松理一教授、またともに内視鏡治療を行い論文作成のご指導もして頂いた、土岐先生をはじめとする消化器内科学胆膵班のメンバーに厚く御礼申し上げます。

消化器内科が参加した多施設共同研究の成果がLancet Gastroenterol Hepatol. に掲載されました

Discontinuation of infliximab in patients with ulcerative colitis in remission (HAYABUSA): a multicentre, open-label, randomised controlled trial.
Kobayashi T, Motoya S, Nakamura S, Yamamoto T, Nagahori M, Tanaka S, Hisamatsu T, Hirai F, Nakase H, Watanabe K, Matsumoto T, Tanaka M, Abe T, Suzuki Y, Watanabe M, Hibi T; HAYABUSA Study Group.
Lancet Gastroenterol Hepatol. 2021 Apr 19:S2468-1253(21)00062-5.

<久松先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎は原因不明の慢性炎症性疾患です。中等症から重症のステロイド治療抵抗性あるいはステロイド依存性の患者は難治性と定義され抗TNFα抗体製剤であるインフリキシマブによる治療が承認されています。インフリキシマブ治療が奏功し臨床的寛解となった患者では8週毎の同剤による寛解維持療法が継続されます。しかし、どこまで維持療法を継続するべきなのか、本当にコントロールが良好な患者ではインフリキシマブを中止することはできないのか、という治療のステップダウンについての知見はありませんでした。患者負担、医療経済的にも重要なこの問いに答えるために日本で世界で初めてのインフリキシマブ休薬に関する前向き比較試験多施設非盲検ランダム化試験(HAYABUSA)が行われ、杏林大学医学部付属病院消化器内科も参加しました。研究デザインとしてはインフリキシマブ維持治療により内視鏡的寛解を達成し臨床的寛解が維持されている患者をインフリキシマブ継続群とインフリキシマブ休薬群に割付け、その後の48週の寛解維持率を比較するものです。結果として寛解維持率はインフリキシマブを継続した患者において、休薬群よりも有意に高いというものでした。本研究は、たとえ内視鏡的寛解を達成し、かつ臨床的寛解にあったとしてもインフリキシマブの中止による再燃リスクは存在することを示しており、休薬のトライについては個々の患者においてリスクベネフィットの観点から慎重に判断されるべきであることを示しています。
本研究が高い評価を受けたのはやはり皆が知りたいクリニカルクエスチョンに対して労を惜しまず前向き試験を行ったことだと思います。論文受諾までの道のりは山あり谷ありでしたが、報われてよかったです。

櫻庭彰人先生の潰瘍性大腸炎における便中バイオマーカーに関する論文がBMC Gastroenterology誌に掲載されました

Extent of disease affects the usefulness of fecal biomarkers in ulcerative colitis
Akihito Sakuraba, Nobuki Nemoto, Noritaka Hibi, Ryo Ozaki, Sotaro Tokunaga, Oki Kikuchi, Shintaro Minowa, Tatsuya Mitsui, Miki Miura, Daisuke Saito, Mari Hayashida, Jun Miyoshi, Minoru Matsuura, Masayoshi Yoneyama, Hiroaki Ohnishi, Tadakazu Hisamatsu. BMC Gastroenterol. 2021 May 1;21(1):197.
PMID: 33933033. DOI: 10.1186/s12876-021-01788-4

<櫻庭先生のコメント>
アルフレッサファーマ社との共同研究により、潰瘍性大腸炎の病変範囲の違いによる便中バイオマーカーの有用性について検討しました。便中バイオマーカーとは、腸管内に放出されるカルプロテクチン、ラクトフェリンや 、ヘモグロビンのことであり、それぞれの便中濃度が腸管炎症と相関することが以前よりわかっていました。近年は保険診療で行える検査となり、広く用いられるようになっています。この研究では直腸炎型において、便中バイオマーカーが炎症の程度を鑑別する能力が低いことを明らかにし、実臨床における便中バイオマーカーの使用法を提案することができました。 論文を作成するにあたり、ご指導頂きました久松理一教授、松浦稔准教授,三好潤講師、 また御協力頂きました臨床検査医学 大西宏明教授,臨床検査部および小腸大腸チームの方々に深く感謝申し上げます。

徳永健吾先生らの研究が米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました

Rimbara E, Suzuki M, Matsui H, Nakamura M, Morimoto M, C. Sasakawa, Masuda H, Nomura S, Osaki T, Nagata N, Shibayama K, Tokunaga K. Isolation and characterization of Helicobacter suis from human stomach. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2021 Mar 30;118(13):e2026337118. doi: 10.1073/pnas.2026337118.

<徳永先生からのコメント>
本研究は国立感染症研究所、杏林大学、北里大学が中心で進めた共同研究であり、コッホの原則に従いヘリコバクター・スイスがヒト胃における病原細菌であることを証明しました。クリニカルクエスチョンを持ちながら症例に向き合い、基礎研究分野の先生方との繋がりを持つことが今回の成果につながったと思います。共著者とディスカッションを繰り返したことや、corresponding authorとしてPNAS誌との一連のやりとりを行ったことは、自分にとってもいい勉強になりました。今後は新たな診断法、治療法が保険収載されるためにエビデンスの構築が必要となります。皆さんのお力添えを賜れますよう宜しくお願い申し上げます。

林田真理先生が博士号(医学)を取得されました

指導教官の久松理一教授、三好 潤学内講師をはじめ、眼科学・岡田アナベル あやめ教授、腎臓・リウマチ膠原病内科学、消化器内科学の多くの先生方の御協力を得て、博士号(医学)を取得することができました。心より感謝申し上げます。 ベーチェット病の特殊型である腸管ベーチェット病の典型的な内視鏡所見である深掘れの回盲部潰瘍は、消化管穿孔や出血のリスクがあり、また術後再発率も高いことから、予後不良因子の一つと考えられています。しかし、ベーチェット病全体における小腸病変については、十分な検討がなされておりません。そこで今回、ベーチェット病診断基準で完全型、不全型、疑いと診断された患者を対象に、小腸カプセル内視鏡を用いて小腸病変の評価を行い、さらに小腸病変の非侵襲的なバイオマーカー探索を目的とした臨床研究を行いました。その結果、ベーチェット病患者では、既報の健常人と比較して小腸病変を多く認めること、また消化器症状のないベーチェット病患者にも小腸病変が存在することが明らかとなりました。さらに便中カルプロテクチン値、便中ラクトフェリンは、ベーチェット病患者における小腸病変のスクリーニングに有用である可能性が示唆されました。今回の研究で得られた結果をさらに検証、発展させて、今後の臨床に貢献して参りたいと思います。

研究題目:ベーチェット病患者における小腸病変スクリーニング検査としての便バイオマーカーの有用性
論文掲載誌:J Gastroenterol Hepatol. 2020; 35 (8): 1340-1346.

医学部6年生の5名が杏林医学会第10回学生リサーチ賞を受賞しました

第117回 日本内科学会総会「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2020東京」で優秀演題賞を受賞した医学部6年生の5名(近藤弘太郎さん,熊木聡美さん,菅野直大さん,道佛香奈江さん,池嶋俊亮さん)が杏林医学会第10回学生リサーチ賞を受賞しました。

<指導教官代表:櫻庭彰人先生よりコメント>
近藤弘太郎さん,熊木聡美さん,菅野直大さん,道佛香奈江さん,池嶋俊亮さんおめでとうございます.学生リサーチ賞は,本学での将来の研究の担い手となることが期待される学生の研究活動を奨励するために贈られる賞です.第117回 日本内科学会総会・講演会 「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2020東京」で優秀演題賞を受賞した発表をご評価いただきました.1か月以上かけ多くの論文を参考に病態を深く掘り下げ,症例を紐解く姿勢が結びついたものと思います.
COVID-19の感染拡大により,当初は4月11日の予定でしたが,2度の延期で8月8日の開催になりました.延期によりモチベーションを維持するも大変だったと思いますが,国家試験の勉強も忙しい中で発表の準備に励んだのは,精神的にもきつかったと思います.また直接会うことができずZOOMで侃々諤々したことは,当時ならではの思い出です.
リサーチマインドをもった優れた臨床医になると思います.将来が楽しみです.

森久保拓先生のメサラジン製剤と免疫調節薬の相互作用に関する論文がJournal of Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました

Differential effects of mesalazine formulations on thiopurine metabolism through thiopurine S‐methyltransferase inhibition
Hiromu Morikubo, Taku Kobayashi, Ryo Ozaki, Shinji Okabayashi, Satoshi Kuronuma, Osamu Takeuchi, Tenyo Shiba, Hiroki Kiyohara, Mao Matsubayashi, Shintaro Sagami, Masaru Nakano, Osamu Ikezaki, Tadakazu Hisamatsu, Yoichi Tanaka, Toshifumi Hibi Journal: Journal of Gastroenterology and Hepatology
https://doi.org/10.1111/jgh.15411

<森久保先生からのコメント>
潰瘍性大腸炎は、未だ根本的な治療法がなく、症状がある際に使用する寛解導入薬と症状の無い寛解状態を維持する寛解維持薬で治療を行っています。メサラジンや免疫調節薬等の以前から使われている基本治療薬を、たくさんの患者様が炎症をコントロールするために内服されております。
本研究では、そのメサラジンと免疫調節薬の相互作用に関して北里大学北里研究所病院と杏林大学病院との共同研究としてご報告させていただきました。
メサラジンには種々の剤形があり、また最近新しい剤形の製剤も発売されておりますが、免疫調節薬に与える影響が剤形ごとに異なると言われております。今回の研究では、メサラジンの剤形を変更することで免疫調節薬の効果が変化し、場合によってはその効果を弱めてしまう可能性があることがわかりました。潰瘍性大腸炎の治療には様々な薬剤があり、その相互作用について正確に理解した上で、きちんと内服して頂き、寛解状態を長く保つためにはどうしたらよいか、今後も研究を継続していきたいと考えております。

研究を主導していただいた北里大学北里研究所病院の小林拓先生、日比紀文先生、その他ご協力頂いた先生方、また杏林大学病院での研究にご協力頂いた久松理一先生をはじめとする諸先生方、そしてなにより研究にご参加頂いた患者様に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

吉田翼先生の十二指腸癌遺伝子解析に関する論文がCase Reports in Gastroenterology誌に掲載されました

Next-Generation Sequencing for Non-Ampullary Duodenal Carcinoma Suggesting the Existence of an Adenoma-Carcinoma Sequence Yoshida T. Kojima Y. Shimada R. Tanabe H. Tabei K. Yanagida O. Nikaido T. Ohtsuka K. Ohnishi H. Abe N. Hisamatsu T. Takahashi S. Case Rep Gastroenterol 2021; 15: 62-69

<吉田先生からのコメント>
十二指腸癌は比較的稀な疾患であり、その癌化の機序の多くは明らかになっていません。大腸癌における癌化の機序としては、adenoma-carcinoma sequenceが代表的ですが、十二指腸を含む小腸で同様の機序が存在するのかどうかは議論の余地があり、世界的にトピックとなっています。
本症例は病理組織学的にadenoma-carcinoma sequenceによる十二指腸癌の発生が強く疑われました。癌に関連する遺伝子を網羅的に調べる次世代シーケンスを行った結果、患者背景として遺伝性疾患である家族性大腸腺腫症に伴う遺伝子変異を認め、家族性大腸腺腫症からのadenoma-carcinoma sequenceを介した発癌が示唆されました。
十二指腸癌で病理組織学的にadenoma-carcinoma sequenceの存在が示唆されたという報告は多数ありますが、ほとんどの報告で次世代シーケンスなどの遺伝学的検索は行われていません。十二指腸癌においてadenoma-carcinoma sequenceがどのように関わっているかを検討するためには、病理組織学的検索のみならず、本症例のように次世代シーケンスを行う必要性があり、本論文においてその意義を示すことができたと考えます。
本発表にあたり、杏林大学医学部付属病院 消化器・一般外科 小島洋平先生に直接のご指導を頂きました。小島洋平先生は私の研修医時代の指導医であり、その後数年を経て内科と外科の垣根を越えて本発表を行えたことは望外の喜びです。また杏林大学医学部付属病院 消化器内科学 高橋信一先生、久松理一先生、臨床検査部 大塚弘毅先生、立正佼成会附属佼成病院 副院長/病理診断科 二階堂孝先生には特別のご指導を賜りました。皆様に深く御礼申し上げます。

渡邉俊介先生のEUS-FNA/Bに関する論文がBMC Gastroenterology誌に掲載されました。

Effectiveness of introducing a 20-gauge core biopsy needle with a core trap in EUS-FNA/B for diagnosing pancreatic cancer
Shunsuke Watanabe , Jun Miyoshi , Masao Toki , Komei Kambayashi , Shuichi Kitada , Takeshi Nosaka , Tomoyuki Goto , Hirotaka Ota , Kazushige Ochiai , Koichi Gondo , Nobuhito Ikeuchi , Shujiro Tsuji, Kenji Nakamura , Junji Shibahara , Tadakazu Hisamatsu BMC Gastroenterol . 2021 Jan 6;21(1):8.
doi: 10.1186/s12876-020-01583-7. PMID: 33407181

<渡邉先生からのコメント>
近年、膵臓癌は増加傾向にあります。膵臓癌は進行が早く、予後の悪い癌種の一つであり、早期診断による治療介入が重要です。
膵臓癌の病理学的診断のために超音波内視鏡下針生検(EUS-FNA/B)が広く普及しております。当院でも以前から同検査を行っており、2016年からはProCore 20 gauge針(PC20)を導入して、さらなる診断能の向上に努めております。PC20の特徴は、これまで多く用いられてきた22 gauge針よりも太く、針の先端に前向きの"カンナ"のような側孔を持つことで、多くの組織検体が採取可能であることとされております。
本研究では、PC20と他の針の診断能を比較検討し、PC20は細胞診よりも組織診の正診率が高く、膵臓癌に対して高い正診率を有することが明らかとなりました。また、穿刺手技の行いやすさ、安全性については他の針と同等でした。以上より、PC20は膵臓癌のEUS-FNA/B診断において有用な穿刺針であると考えられました。
しかしながら、依然として正確な診断を得るために内視鏡検査を複数回受けていただく必要がある患者様もいらっしゃるのが現状です。少しでも患者様の負担を減らし、より早く正確な診断を行うために、さらに検査精度を高めるための研究を継続していきたいと考えております。

本研究の遂行、論文作成についてご指導いただいた久松理一教授、三好潤先生、ご協力いただいた胆膵診療チームの先生方に深く感謝申し上げます。

三好潤先生のヒト微生物叢の研究方法についての総説がGastroenterology誌に掲載されました。

Miyoshi J, Rao MC, Chang EB.
Navigating the Human Gut Microbiome: Pathway to Success from Lessons Learned.
Gastroenterology. 2020 Dec;159(6):2019-2024. doi: 10.1053/j.gastro.2020.09.002. Epub 2020 Sep 7. PMID: 33181127.

<三好先生からのコメント>
近年、ヒト微生物叢(microbiome)と健康・疾病との関連が注目され、多くの研究が行われています。今回、私は、アメリカ消化器病学会誌であるGastroenterology誌の「MENTORING, EDUCATION, AND TRAINING CORNER」にヒトmicrobiome研究をいかに有意義なものとするかについて執筆する機会をいただきました。 Microbiome研究においては、解析技術が著しく進歩し、さまざまな知見が得られるようになりました。一方、どのような仮説を立て、何を、どのように調査したいのかということを明らかにして研究を実施するという点は不変であり、そのためには研究デザインについての十分な検討が欠かせません。また、本分野の発展には、臨床医学的観点から、微生物学、免疫学、バイオインフォマティクスなどの多分野にわたるアプローチがきわめて重要と考えられます。したがって、それぞれの分野における現状、課題を知る必要があります。 本稿では、これまでのmicrobiome研究における「教訓」をもとに、これからのmicrobiome研究は、何に注意し、どのような工夫を行って計画・遂行すべきか、どこに向かっていくのか、を提案、考察させていただきました。少しでも本分野の発展に役立てればと思っております。 執筆の機会をいただいたシカゴ大学Eugene B. Chang教授に厚く御礼申し上げます。

落合一成先生が2019年度日本胆道学会賞を受賞しました

落合一成先生が"急性閉塞性胆管炎の原因がアミオダロンと考えられた1例"症例報告で、2019年度の日本胆道学会賞を受賞しました。以下、落合一成先生からのコメントです。

この度、「2019年度日本胆道学会賞」を賜り、大変光栄に存じます。
本症例はcommon diseaseである急性胆管炎の症例でありますが、胆汁うっ滞の原因が一般的な総胆管結石や膵臓癌・胆道癌ではないため診断に難渋しました。我々はその原因が薬剤にあるのではないかと推察し、胆汁の性状を精査しつつ加療を行いましたが、その過程を評価頂けたのではないかと思っております。
ご多忙の中、熱心に指導して頂いた久松 理一教授、両角 克朗先生、土岐 真朗先生を始め、多くの先生方に多大なご協力をいただきながら寄稿した論文であり、喜びもひとしおです。厚く御礼申し上げます。
残念ながら、今年はCOVID-19の影響で表彰式が行われることはありませんでしたが、来年、新横浜国際ホテルで開催される予定の第57回日本胆道学会学術集会にて表彰式が執り行われる予定であり、是非発表とともに参加させて頂きたいと考えております。 今後もこの賞に恥じぬよう、より一層の努力をしていく所存です。

木村容子先生が日本消化器病学会関東支部第360回例会で専修医奨励賞を受賞しました。

当科より東京歯科大学市川総合病院に出向中の木村容子先生が、2020年8月3日から8月31日までwebにて開催された日本消化器病学会関東支部第360回例会の専修医セッションにおいて、専修医奨励賞を受賞しました。 ご指導いただきました東京歯科大学市川総合病院の先生方に深く感謝を申し上げます.

<木村先生からのコメント>
この度の奨励賞の受賞にあたり、このような発表の機会をいただき、また中村先生をはじめ日頃よりご指導いただいている先生方には心より感謝申し上げます。
今回、「胸部下行大動脈Penetrating atherosclerotic ulcer破裂による食道穿破の一例」という演題で発表させていただきました。Penetrating atherosclerotic ulcer(PAU)とは動脈硬化性疾患の一つであり、腹部症状を主訴に来院しPAUの診断に至った本症例は、私自身も今後実臨床を行っていく上で大変示唆に富んだものであったと感じております。今回の経験を糧に、今後も引き続き研修に励んで参りたいと思います。

(左から東京歯科大学市川総合病院 西田次郎病院長, 木村容子先生, 中村健二准教授)

医学部6年の5人による2演題が第117回日本内科学会総会「医学生・研修医のことはじめ2020」で優秀演題賞を受賞しました

8月8日に第117回日本内科学会総会「医学生・研修医のことはじめ2020」が開催されました。新型コロナウイルスのため、4か月遅れで東京国際フォーラムの会場とWEBの両方による開催です。全国から358演題が募られ、そのうち「消化器」は51演題でした。当科からは一番多い5演題が採択されました。

初期研修医
眞崎康輔 先生 (指導教官:北田修一 先生)
「内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術にて軽快し得た縦隔内膵仮性嚢胞の1例」
江頭徳仁 先生 (指導教官:尾崎良 先生)
「保存的治療によって改善した劇症型アメーバ大腸炎の1例」
加藤季澄 先生 (指導教官:三井達也 先生)
「好酸球性消化管障害に対する全身ステロイド療法中に発症した播種性ノカルジア症の1例」

医学部6年生
菅野直大さん、道佛香奈江さん、池嶋俊亮さん(指導教官:櫻庭彰人 先生)
「肺動脈高血圧症を合併した遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler病)に対して肝動脈塞栓術を施行した1例」
近藤弘太郎さん、熊木聡美さん(指導教官:楠原光謹 先生)
「心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション後に発症した急性胃拡張の2例」

「肺動脈高血圧症を合併した遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler病)に対して肝動脈塞栓術を施行した1例」および「心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション後に発症した急性胃拡張の2例」の2演題については、優秀演題賞を受賞しました。 また、指導教官である櫻庭彰人先生、楠原光謹先生は、指導教官賞を受賞しました。

<指導教官代表:櫻庭彰人先生よりコメント>
いつもなら広い会場に大勢の若者が集まりすごい熱気なのですが、それを体験させてあげることができなかったのはちょっと残念でした。でも、昨年の3演題よりも多い5演題の発表となり、さらに優秀賞をもらうことができ感無量です。来年は会場で表彰式に出たいですね。
学生たちはほとんど学会を見たこともありませんでしたが、自分たちでスライドを作り、オンラインミーティングで何度も議論を重ね、ワンチームで足掛け6か月でスライドを完成させました。途中、新型コロナウイルスで病院に来ることができなかったり、進級試験があったり数々のハードルがありましたが、2演題とも優秀演題賞を受賞することができ感動もひとしおです。

<久松理一教授よりコメント>
今回、当教室から研修医3人と学生5人が発表を行いました。それぞれがベッドサイドで経験した貴重な症例等を、治療や研究に役立てようと懸命に取り組んできました。コロナ禍で学会活動が縮小ムードになる中で、むしろ昨年よりも多くの演題発表をしたその心意気は素晴らしく、全国に杏林のプレゼンスを示すことができたと思います。
M6学生の皆さん、内科学会ことはじめ2020での活躍おめでとうございます。 一人ではなくグループで作業に当たったというところがまた素晴らしく、M6主担任の立場としてもとても嬉しく頼もしく思います。桜庭先生、楠原先生の写真も素敵ですね、兄貴分としての余裕みたいなものを感じます!

優秀演題賞を受賞した医学部6年生の5名

指導教官賞を受賞した桜庭先生、楠原先生

三好潤先生の腸内微生物叢のメタゲノム解析による炎症性腸疾患発症の予測についての論文がCellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました。

Metagenomic alterations in gut microbiota precede and predict onset of colitis in the IL10 gene-deficient murine model.
Miyoshi J, Lee STM, Kennedy M, Puertolas M, Frith M, Koval JC, Miyoshi S, Antonopoulos DA, Leone V, Chang EB. Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2020 Aug 21:S2352-345X(20)30132-6. doi: 10.1016/j.jcmgh.2020.08.008. Online ahead of print.
PMID: 32835897

<三好先生からのコメント>
疫学的研究から周産期・小児期の抗生剤使用が後年の炎症性腸疾患(IBD)発症と関連することが知られています。私たちは、このヒトでの知見を模した腸炎モデルマウスを以前に報告しました。本モデルでは、抗生剤により乱れた腸内細菌叢を早期より有するIL-10欠損マウス(IL-10という炎症を抑制するサイトカインを持たないマウス)では、後年の腸炎発症リスクが増すことが分かりました(Miyoshi et al. 2017)。しかし、腸炎のリスクが高いマウス群においても実際に腸炎を発症するマウスとしないマウスが存在しており、今回の研究では、後年の腸炎発症の有無を、より早期の段階、臨床症状がない時点で、腸内微生物叢のメタゲノム解析により予測できないかについて検討しました。
腸管内では多数の微生物が、さまざまな代謝に関わりながら、複雑なコミュニティを形成しています。今回用いたメタゲノムショットガンシーケンシングは、腸管内に存在するDNAをことごとく読み取っていく手法です。そして、その無数のDNA断片がどのような微生物に由来するかを解析することで、腸管内の微生物の構成を明らかにすることができます。さらに、それらのDNA断片がどのような遺伝子に相当するのかを解析し、各遺伝子がどのような代謝に関与しているのかというデータベースと照らし合わせることで、腸内微生物叢のコミュニティ全体としての代謝機能を評価することができます。これらの解析の結果、私たちは、後年に腸炎を発症するマウスでは、臨床症状がない時点で、すでに微生物の構成や微生物叢の機能に変化が生じていることを見出しました。今回の研究では窒素代謝の変化を認めましたが、これまでに発症・診断後のIBD患者さんにおいて微生物叢の窒素代謝が変化していることが報告されています。
これらの知見は、メタゲノム解析による腸内微生物叢の機能評価、さらには特定の代謝物の評価が、ヒトIBDにおける発症・再発予測、疾患マネジメントの新たな指標として用いることができる可能性を示唆しており、さらなる臨床に即した研究を進める根拠となるものと考えられます。 本研究につきご指導、ご協力いただきましたシカゴ大学Eugene B. Chang教授および研究室メンバーに、お礼申し上げます。

三好潤先生の成分栄養剤が腸内微生物叢に与える影響に関する論文がGastroenterology Research and Practice誌に掲載されました。

Half-Elemental Diet Shifts the Human Intestinal Bacterial Compositions and Metabolites: A Pilot Study with Healthy Individuals
Jun Miyoshi, Daisuke Saito, Mio Nakamura, Miki Miura, Tatsuya Mitsui, Toru Kudo, Shinnosuke Murakami, Minoru Matsuura, and Tadakazu Hisamatsu
Gastroenterology Research and Practice. 2020. Volume 2020, Article ID 7086939, https://doi.org/10.1155/2020/7086939.

<三好先生からのコメント>
成分栄養剤(エレンタール®)は長年にわたりクローン病の治療に用いられており、その有効性は広く知られています。しかし、有効性のメカニズムについては確立した見解が得られていません。私たちは、成分栄養剤摂取により、腸内微生物叢、腸内環境が炎症を抑制する状態に変化するのではないかという仮説を立て、今回の研究を実施しました。本研究により、腸内微生物叢には大きな個人差があるものの、1日900kcalの成分栄養剤摂取により、腸内細菌叢の細菌構成、腸管内代謝物プロファイルが経時的に変化することが明らかとなりました。今後は、今回観察された微生物叢変化の生理学的な意義についての検討が必要と考えられます。
本論文につきご指導、ご協力いただきました久松理一教授、消化器内科メンバーに、お礼申し上げます。

大野亜希子先生のピロリ菌除菌後胃癌に関する論文がBMC Gastroenterology誌に掲載されました。

Endoscopic severe mucosal atrophy indicates the presence of gastric cancer after Helicobacter pylori eradication -analysis based on the Kyoto classification.
Ohno A, Miyoshi J, Kato A, Miyamoto N, Yatagai T, Hada Y, Kusuhara M, Jimbo Y, Ida Y, Tokunaga K, Okamoto S, Hisamatsu T.
BMC Gastroenterol. 2020 Jul 20;20(1):232. doi: 10.1186/s12876-020-01375-z.

<大野先生からのコメント>
胃癌はその90%以上がヘリコバクター・ピロリ感染との関連を指摘されており、感染症の一つと言っても過言ではありません。過去には高いピロリ菌感染率であった日本では除菌治療が急激に進み、過去に感染し現在陰性となった「既感染者」も増加しています。除菌により胃癌抑制効果が期待できることは分かっていますが、その既感染者の中にも一定の割合で胃癌が発見される事も知られています。またこのような除菌後に発生する胃癌は、除菌前と比べて内視鏡検査で早期に発見されにくいという事が現在問題となっています。
本研究では、「除菌後も早期胃癌が存在しうる胃粘膜には、内視鏡検査でどのような特徴があるか」について検討しました。その結果、除菌後長期経過したにも関わらず今回早期胃癌が発見された胃は、粘膜の萎縮が噴門部を超えて高度に進んだ胃である事が分かりました。また年齢が高い症例が多く、これは萎縮が高度に進行する前の除菌治療が望ましいことを示唆していると考えられます。
今後は、ピロリ菌除菌後の患者さんに安心して内視鏡検査を受けて頂くべく、除菌後胃癌とその背景胃粘膜の特徴についてさらに継続して研究して参りたいと思います。

論文を作成するにあたり、御指導頂きました消化器内科学 久松理一教授、三好 潤先生、 また御協力頂きました総合診療学 岡本晋教授、徳永健吾准教授、井田陽介講師、および消化器内科学 内視鏡治療班のメンバーに深く感謝申し上げます。

DIAMOND試験(deep remission of immunomodulator and adalimumab combination therapy for Crohn's disease studies)に関する総説がJournal of Gastroenterology誌に掲載されました。

The shining DIAMOND for evidence-based treatment strategies for Crohn's disease
Hiroshi Nakase, Takayuki Matsumoto, Kenji Watanabe, Tadakazu Hisamatsu
J Gastroenterol. 2020 Jul 13. doi: 10.1007/s00535-020-01702-x.

<久松先生からのコメント>
このたびDIAMOND試験に関するレビュー(筆頭著者 札幌医科大学 仲瀬裕志教授)がJournal of Gastroenterology 誌に掲載されました。2つの前向き多施設共同試験(DIAMOND&DIAMOND2)、サブ解析を入れて計6本の英文論文発表という成果となりました。自分たちの教室独自の論文を出すのとはまた違った嬉しさがあります。
最初のDIAMOND試験は日本の炎症性腸疾患分野でおそらく初めての多施設共同前向き無作為化比較試験として行われました。UMINを見ると最初のDIAMOND試験の登録日は2011年2月25日となっているので準備も含めると足掛け10年の仕事になりました。主メンバー4人(松本主之 岩手医科大学、仲瀬裕志 札幌医科大学、渡辺憲治 兵庫医科大学、久松理一 杏林大学)の所属もそのころは現在とは違っていて、当時私はまだ40代なかばでしたから時間の流れの速さを実感します。結果を残せたことがもちろん一番大切なのですが、個人的にはDIAMOND試験を通じて多くの先生方と近しくなったことが大きな財産になっています。特に私を含めて主メンバーの4人はデータ解析で日曜日に集まったり、論文をお互いに校閲しあったりと同じ医局にいるような(時にはそれ以上の)密接な時間を過ごしたと思います。誰が言い出したかTeam DIAMONDと自分たちのことを呼んで、酒を飲んで、愚痴も言い合ったものです。そしてお互いが良い刺激になり、各自が必ず1本ずつ論文を執筆しようと心に誓っていたと思います。松本先生がこの4人の中では一番先輩なのですが、もっとも仕事が早く、もっとも睡眠時間が短いときているので、年下の他の3人が尻を叩かれたことは言うまでもありません。この関係がCEASの発見、MEFV関連腸炎の多施設共同研究(AMED仲瀬班)、腸管ベーチェット病ガイドライン作成、そして厚労省班会議につながっていると思います。上下関係のない、フランクで、しかもお互いに意識して切磋琢磨する関係というのは非常に貴重なものです。単に仲良しならたくさんいるけれど、信頼と絶妙な緊張感が共存している関係というのはなかなかありません。そういう意味で自分にとって本当に"DIAMOND"となりました。医局の10か条に『井の中の蛙にならず外の世界にでなさい』、というのがあるけれども、若い先生にはぜひ切磋琢磨できる同胞を外の世界に作って欲しいなと思います。

  • Matsumoto T, et al. Adalimumab monotherapy and a combination with azathioprine for Crohn's disease: A prospective, randomized trial.
    J Crohns Colitis. 2016 Nov;10(11):1259-1266.
    DIAMOND試験の主論文。バイオナイーブ中等症から重症クローン病に対するアダリムマブ単独療法vs アダリムマブ+アザチオプリン併用療法の無作為化比較試験。世界で初めてのヒト型抗TNFα抗体製剤アダリムマブとアザチオプリンの併用療法の有益性に関する前向き試験で、主要評価項目である26週時点での臨床的寛解率は両群で有意差が無く併用療法の優位性は証明されなかった。この結果は先行したキメラ型TNFα抗体製剤インフリキシマブにおけるSONIC試験とは異なるものであった。

  • Nakase H, et al. Significance of measurement of serum trough level and anti-drug antibody of adalimumab as personalised pharmacokinetics in patients with Crohn's disease: a subanalysis of the DIAMOND trial.
    Aliment Pharmacol Ther. 2017 Nov;46(9):873-882.
    DIAMOND試験のサブ解析論文。アダリムマブ血中濃度、抗アダリムマブ抗体誘導について解析したもの。52週時点でのアダリムマブ血中トラフ濃度が寛解群と非寛解群で異なること、26週時点での抗アダリムマブ抗体誘導が52週の臨床成績に影響を及ぼすこと、が明らかとなった。

  • Watanabe K, et al. Clinical and pharmacokinetic factors associated with adalimumab-induced mucosal healing in patients with Crohn's disease.
    Clin Gastroenterol Hepatol. 2018 Apr;16(4):542-549.
    DIAMOND試験のサブ解析論文。内視鏡所見について解析すると併用群で良好な傾向があることがわかり、ヒト型抗体であるアダリムマブにおいてもアザチオプリン併用療法にmarginalなベネフィットがあることが示された。

  • Hisamatsu T, et al. Concerns and side effects of azathioprine during adalimumab induction and maintenance therapy for Japanese patients with Crohn's disease: a sub-analysis of a prospective randomized clinical trial (DIAMOND study).
    J Crohns Colitis. 2019Sep 19;13(9):1097-1104.
    DIAMOND試験のサブ解析論文。試験脱落例に着目して解析が行われ、アザチオプリン併用群では同剤の副作用を懸念した早期脱落、アダリムマブ単独療法では疾患活動性による晩期脱落が主な理由であることが明らかとなり、さらにアザチオプリンの有害事象のリスク因子として男性の低体重が抽出された。

  • Hisamatsu T, et al. Withdrawal of thiopurines in Crohn's disease treated with scheduled adalimumab maintenance: a prospective randomised clinical trial (DIAMOND2).
    J Gastroenterol. 2019 Oct;54(10):860-870.
    DIAMOND2試験の主論文。アダリムマブとチオプリン併用療法で6か月以上ステロイドフリー臨床的寛解にある患者を対象に併用療法継続群とチオプリン製剤休薬群の多施設共同前向きランダム化比較試験。主要評価項目である52週時点での臨床的寛解率に両群で有意差は認めず、併用療法継続の有益性は確認されなかった。

  • Nakase H, Matsumoto T, Watanabe K, Hisamatsu T. The shining DIAMOND for evidence-based treatment strategies for Crohn's disease.
    J Gastroenterol. 2020 Jul 13.
    DAIMOND & DIAMOND2試験を総括したレビュー論文。

菊地翁輝先生の症例報告がClinical Journal of Gastroenterology 誌に掲載されました

菊地翁輝先生の潰瘍性大腸炎に対するトファシチニブ治療中に円形脱毛症の改善を認めた2症例についての報告がClinical Journal of Gastroenterology 誌に掲載されました。

Two Cases in Which Tofacitinib Effectively Treated Both Ulcerative Colitis and Alopecia Areata
Kikuchi O, Saito D, Miura M, Wada H, Ozaki R, Tokunaga S, Minowa S, Fukuyama M, Mitsui T, Sakuraba A, Hayashida M, Miyoshi J, Matsuura M, Ohyama M, Hisamatsu T.
Clin J Gastroenterol. 2020 Jun 26. doi: 10.1007/s12328-020-01150-3. Online ahead of print.
PMID: 32592149

神林孔明先生が2019年度「マイベスト指導医」に選出されました

<神林先生よりコメント>
このたびは、ベスト指導医に選出いただき、大変光栄に存じます。
私自身、これからも医師になったときの初心を忘れずに診療と指導に励んでまいりたいと思います。

土岐真朗先生の世界初の胆道3Dイメージ構築技術を用いた臨床症例報告が論文掲載されました(動画、画像あり)。

Masao Toki, Hidekatsu Tateishi, Tsubasa Yoshida, Koichi Gondo, Shunsuke Watanabe and Tadakazu Hisamatsu: Utilization of a new technology of 3D biliary CT for ERCP-related procedures: a case report, BMC Gastroenterology (2020) 20:158.
https://doi.org/10.1186/s12876-020-01304-0

<土岐先生からのコメント>
 画像診断、各種機器の進歩に伴い、胆管ドレナージ施行前の胆管走行の確認は以前よりも行いやすくなっていきています。しかし、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)関連手技は未だに内視鏡画像と"2D白黒"の透視画像で施行されており、依然として選択的胆管ドレナージが困難な症例にしばしば遭遇します。
 そのような中、私たちは、術前のCT画像から3次元画像解析システムであるSYNAPSE VINCENT(FUJIFILM社製)で胆道3Dナビゲーションマップを作成、併用することが、選択的胆管ドレナージの成功率や安全性の向上に役立つことを見出しました。今回の症例報告は、その第一号の症例であり、3Dナビゲーションマップを併用して行った選択的胆管ドレナージが非常に有効な症例でした(動画1をご覧ください)。胆道3Dイメージ構築技術を用いた臨床症例として世界初の報告となります。

 3Dナビゲーションマップ併用の利点は施行前の詳細な治療プランニングが可能であり、施行中の胆管走行の立体的な把握も容易となることです(写真1をご覧ください)。このことで、手技成功率の向上、検査時間の短縮、患者・術者・介助者の被曝量の軽減、偶発症発生率を低下させる可能性があると考えられます。これまで約30症例に導入し、現在も活用しています。また、今後は、患者さん・ご家族への病状説明での利用や、教育への導入も検討しています。

 本検討、論文を作成するにあたり、御指導頂きました消化器内科学久松理一教授、また御協力頂きました杏林大学医学部放射線科学立石秀勝先生、消化器内科学胆膵班のメンバーに厚く御礼申し上げます。



松浦稔准教授、久松理一教授の総説が日本消化器病学会雑誌に掲載されました

松浦稔准教授、久松理一教授の総説が日本消化器病学会雑誌に掲載されました。

抗 TNFα 抗体製剤との併用における免疫調節薬の意義と問題点
松浦稔 久松理一
日本消化器病学会雑誌 117: 214-223, 2020.

<松浦稔准教授からのコメント>
クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は若年者に好発する原因不明の難治性疾患です。1990年代後半に登場した抗TNFα抗体製剤は炎症性腸疾患の治療体系に大きな変革をもたらし、この疾患に長年苦しむ患者さんに多くの福音をもたらしました。その一方、長期使用に伴い効果減弱をはじめとした新たな課題も見つかり、いかに抗TNFα抗体製剤の効果を上手く引き出すかという議論が盛んに行われています。免疫調節薬(チオプリン製剤)は古くから海外では炎症性腸疾患の治療薬として用いられていましたが、昨今、抗TNFα抗体製剤の治療最適化としての新たな役割が注目されています。そこで今回の総説では、本邦から発信された新たなエビデンスも交えながら、抗TNFα抗体製剤との併用における免疫調節薬の意義と問題点についてまとめました。一人でも多くの患者さん、炎症性腸疾患の診療に携わる先生方にお役に立つことができれば幸いです。
総説の執筆にあたり、このような機会をいただき御指導を賜りました消化器内科学 久松理一教授、また日本からの新たなエビデンス発信を目指して一丸となって臨床研究にご協力いただきました各施設の先生方に厚く御礼申し上げます。

医学部医学科5年生の根本展希君が第9回杏林医学会トラベルアワード賞を受賞

医学部医学科5年生の根本展希君が第9回杏林医学会トラベルアワード賞を受賞しました。

<根本展希君よりコメント>
第105回日本消化器病学会総会一般口演にて発表を行い、これに対してトラベルアワード賞を頂きました。日頃より直接ご指導を頂いている櫻庭先生、久松教授をはじめ、本研究に関わってくださっている先生方に心より御礼申し上げます。本研究では、潰瘍性大腸炎における便中バイオマーカーの有用性について病型別に解析しました。私たちの検討では、直腸炎型では相関が弱く、病変範囲の広がりに対応して相関が強くなる傾向を認めました。本研究を通じて、便中バイオマーカーは病変範囲の影響を受けることが示唆され、臨床現場に還元できる結果が得られたと考えています。発表当日の会場は250人の会場が満員であり、多くのベテランの先生方の前での発表は、とても緊張しましたが貴重な経験となりました。セッション中には座長の先生やフロアの先生方からご質問を頂き、大変有意義なディスカッションを行うことができました。学生という立場ではありますが、本来の学業に邁進するとともに、1つの結果に満足することなく臨床現場につながる研究を継続して行えるように努力したいと思っております。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

林田真理先生の論文がJournal of Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました

林田真理先生のベーチェット病における小腸病変と便バイオマーカーの関連についての論文がJournal of Gastroenterology and Hepatologyに掲載されました。

Elevated fecal calprotectin and lactoferrin associated with small intestinal lesions in patients with Behçet disease.
Hayashida M, Miyoshi J, Mitsui T, Miura M, Saito D, Sakuraba A, Kawashima S, Ikegaya N, Fukuoka K, Karube M, Komagata Y, Kaname S, Okada AA, Fujimori S, Matsuura M, Hisamatsu T. J Gastroenterol Hepatol. 2020 Jan 30. doi: 10.1111/jgh.14995. [Epub ahead of print]
PMID: 31999379

<林田真理先生からのコメント>
ベーチェット病は、再発性口腔内潰瘍、眼病変、皮膚病変、外陰部潰瘍を主病変とする原因不明の炎症性疾患で、アジアおよびシルクロードに沿って発症率が高いとされています。ベーチェット病の腸管病変は穿孔や出血のリスク、術後再発率も高いことから予後不良因子の一つと考えられていますが、ベーチェット病の小腸病変については十分な検討がされておらず、そのリスク因子も明らかではありません。本研究では、当院眼科、腎臓リウマチ膠原病内科の協力もいただき、小腸用カプセル内視鏡を用いて、腸管ベーチェット病に限らない、ベーチェット病患者における小腸病変について検討しました。今回私たちは、ベーチェット病では、小腸病変が健常人よりも多く存在していること、さらにそれらの小腸病変が便中カルプロテクチン値、便中ラクトフェリン値の上昇と関連していることを報告いたしました。本知見は、これらの非侵襲的な便バイオマーカーがベーチェット病の小腸病変のスクリーニング検査として有用であることを示唆していると考えられます。今後もベーチェット病のみならず、小腸疾患の診断と治療に役立てるよう臨床研究を継続して参りたいと思います。

論文を作成するにあたり、御指導頂きました消化器内科学久松理一教授、松浦 稔准教授、三好 潤先生、 また御協力頂きました杏林大学眼科学 岡田アナベルあやめ教授、腎臓・リウマチ膠原病内科学 要 伸也教授、駒形嘉紀教授、軽部美穂先生、福岡利仁先生、池谷紀子先生、川嶋聡子先生に深く感謝申し上げます。

徳永健吾准教授が第47回日本潰瘍学会で最優秀演題に贈られる学会賞を受賞しました

第47回日本潰瘍学会が2020年1月16日~17日に小田原で開催され、徳永健吾先生(2017年当科から総合医療学へ異動)が、シンポジウムで発表した「特発性消化性潰瘍の成因検討―Helicobacter suis感染の関連を含めて」で学会賞を受賞しました。
(共同演者:大崎敬子、林原絵美子、松井英則、大野亜希子、三好佐和子、井田陽介、岡本 晋、久松理一、中村正彦)

<徳永健吾先生からのコメント>
第47回日本潰瘍学会学術集会において学会賞を頂きました。久松理一教授をはじめ、ご指導、ご協力いただいた先生方に厚くお礼申し上げます。ピロリ菌感染がなくNSAIDsを使用していない特発性消化性潰瘍(IPU)は稀とされてきましたが、近年その頻度は増加傾向にあります。その原因は明らかではありませんが、今回ピロリ菌以外の細菌であるHelicobacter suis (H. suis) 感染が関与していることを当院感染症科、北里大学、国立感染症研究所との共同研究で明らかにしました。さらに国立感染症研究所・林原絵美子先生のご尽力で、H. suisを臨床検体から初めて培養することに成功しました。今後ピロリ菌陰性疾患とH. suisの関与が明らかになることで、これまで不明であった病態や治療法の開発につながると考えています。今後とも、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

小栗典明先生の論文がJournal of Gastroenterology and Hepatology誌に掲載されました

小栗典明先生(聖路加国際病院消化器内科出向中)の大腸憩室出血の治療ストラテジーに関する論文がJournal of Gastroenterology and Hepatologyに掲載されました。聖路加国際病院でご指導いただいている先生方に厚く御礼申し上げます。

Effectiveness of risk scoring systems in predicting endoscopic treatment in colonic diverticular bleeding.
Oguri N, Ikeya T, Kobayashi D, Yamamoto K, Yoshimoto T, Takasu A, Okamoto T, Shiratori Y, Okuyama S, Takagi K, Nakamura K, Fukuda K.
J Gastroenterol Hepatol. 2019 Nov 1. doi: 10.1111/jgh.14901. [Epub ahead of print]

医学部医学科5年生の根本展希君が第8回学生リサーチ賞(医学部)を受賞

医学部医学科5年生の根本展希君が第48回杏林医学会事務総会にて第8回学生リサーチ賞(医学部)を受賞しました。また、その活躍が杏林大学ホームページに掲載されました。

<根本展希君よりコメント>
この度の学生リサーチ賞の受賞にあたり、このような研究の機会をいただき、また丁寧にご指導くださっている久松教授、櫻庭先生、消化器内科の先生方に感謝申し上げます。今回の受賞を大変光栄に思うとともに、これを機により一層、学業にも研究活動にも励んでまいりたいと思います。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

>> 杏林医学会ホームページはこちら   >> 杏林大学ホームページはこちら

第10回日本炎症性腸疾患学会学術集会において当科より3名が発表を行い、当院看護師がメディカルスタッフ教育セミナーに参加しました

第10回日本炎症性腸疾患学会学術集会が11月29日にアクロス福岡で開催されました。当科からは齋藤大祐先生、德永創太郎先生、三好潤先生がポスター発表を行い、 齋藤先生、三好先生が優秀ポスター賞を受賞しました。

齋藤大祐先生:潰瘍性大腸炎に対する Vedolizumab による寛解導入療法の治療効果予測に関する検討
德永創太郎先生:高齢発症潰瘍性大腸炎患者の予後予測因子に関する検討
三好潤先生:成分経腸栄養剤の摂取による腸内環境の変化―健常人におけるパイロット検討

また当院の矢野看護師、千秋看護師がメディカルスタッフ教育セミナーに参加しました。

<齋藤大祐先生からのコメント>
 第10回日本炎症性腸疾患学会学術集会において、優秀ポスター賞を受賞させていただきました。新規治療薬であるvedolizumabにおけるearly responderの予測因子を検討した発表を評価していただきましたが、炎症性腸疾患領域のスペシャリストが集まる本学会でこのような賞をいただけたことを非常に光栄に感じております。久松理一教授、松浦稔准教授はじめ、消化器内科の先生方の御指導のおかげです。今後も症例を蓄積し、研究を継続していきたいと考えておりますので、引き続きご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

<三好潤先生からのコメント>
 このたび第10回日本炎症性腸疾患学会学術集会において優秀ポスター賞を受賞いたしました。久松理一教授をはじめ、ご指導、ご協力いただいた先生方に厚くお礼申し上げます。成分経腸栄養剤のクローン病における臨床的有効性は広く知られていますが、そのメカニズムの全てが明らかとなっているわけではありません。私たちは、成分経腸栄養剤が腸内環境に作用して炎症を抑えるような状態に変化させるのではないかという仮説を立て、本研究を開始しました。腸内細菌や代謝物を解析する中で、新たな研究課題も見えてまいりました。炎症性腸疾患治療薬の有効性のメカニズムを知ることで、より良い治療法の開発、発展や炎症性腸疾患の病因の解明にもつながると考え、これからも研究活動を続けてまいります。今後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

<矢野悦子看護師からのコメント>
炎症性腸疾患学会主催のメディカルスタッフセミナーでは、IBDの治療指針や新規治療薬、高齢者IBDの治療について知識を深めることができました。高齢者IBDのセッションでは、高齢発症UCは重症なことが多く、患者自身が様々な合併症を抱えている割合も多いため、治療の選択の重要性や手術のタイミングの見極めが大切であることが分かりました。またIBDバイオマーカーのセッションでは、客観的な検査データを用いて病状の評価を行うためのマーカーについて学ぶことができました。今回のセミナーでの学びを通じて患者さんの病態はもちろんのこと、社会生活状況やコンプライアンス状況などの個別性を重視した治療を行う上で、チーム医療の重要性を感じました。看護師として治療を円滑に進められるようにサポートするとともに、社会生活を営みながら治療を継続できるよう、患者さんに寄り添った看護を提供していきたいと思います。
このようなセミナーに参加させていただき、ありがとうございました。

第27回日本消化器関連学会週間(Japan Digestive Disease Week 2019 KOBE)において当科からも多数の発表、報告を行いました

消化器疾患に関連する5学会が合同で開催する消化器関連学会週間(JDDW)が2019年11月21-24日に神戸コンベンションセンターにて開催されました。
今回のJDDWでは、齋藤大祐先生がパネルディスカッション、德永創太郎先生がシンポジウムにて口頭発表するという大役を果たしました。
また、菊地翁輝先生、権藤興一先生、神保陽子先生、日比則孝先生がポスター発表を行いました。
日比則孝先生は北里大学北里研究所病院の先生方のご指導もいただき、若手奨励賞を受賞しました。

齋藤大祐先生:潰瘍性大腸炎における5-ASA不耐症例に対する5-ASAローテーションの有効性の検討
德永創太郎先生:高齢発症潰瘍性大腸炎患者の転帰に関する予後因子の解析
菊地翁輝先生:当院における炎症性腸疾患合併妊娠に関する検討
権藤興一先生:当院における遠位悪性胆道狭窄に対するself-expandable metallic stent(SEMS)留置後の偶発症の検討
神保陽子先生:生検組織診断分類Group2症例におけるNBI併用拡大観察の有用性
日比則孝先生:Drug-tolerant assayによる抗インフリキシマブ抗体測定の有用性

<齋藤大祐先生からのコメント>
 このたび、2019年11月21日から24日まで神戸で開催された第27回日本消化器関連学会週間(JDDW)におきまして、幸運にもパネルディスカッション「潰瘍性大腸炎治療の現状とこれから」で発表させていただく機会を頂きました。
 近年、UCに対する様々な新規治療薬が出現しています。現在も複数の国際共同治験が進行しており、今後も治療選択肢は増加していくのだと思います。しかしながら、不耐により基本治療薬としての5ASA製剤の使用が制限され、安易な治療のstep upが行われることは、長期のマネージメントを要するUC治療においては患者さんご自身にも、医療経済的にも大きな不利益になります。不耐を見極め、再投与の可否を判断し、可能な限り5-ASA製剤の最適化を行うことが増加の一途を辿るUC診療において極めて重要であると考え、今回「潰瘍性大腸炎における5ASA不耐症例に対する5ASAローテーションの有効性の検討」として、5ASA不耐と再投与についての後方視的検討を発表させていただきました。
 今回私が発表をさせて頂いたセッションは、日頃より様々な学会等で講演を拝聴させていただいている炎症性腸疾患のエキスパートの先生方が複数演者として参加されており、そのようなセッションで発表し、さらには総合討論で様々なディスカッションをさせていただいたことは、非常に貴重な経験であったと実感しています。特に、同じ5ASA不耐をテーマとして発表されていた岡山大学の平岡佐規子先生とディスカッションをさせていただいた時間は、非常に貴重なものとなりました。
 最後に、今回の発表に際し御指導を頂きました久松理一教授はじめ消化器内科の先生方にはこの場をお借りして改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

<德永創太郎先生からのコメント>
 この度、第27回日本消化器関連学会週間のシンポジウム「高齢者消化器病の特徴と対策」のセッションにおいて、「高齢発症潰瘍性大腸炎患者の転帰に関する予後予測因子の検討」という演題で発表させていただきました。
 本邦の潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患患者は増加の一途を辿っており、それに伴って高齢患者、高齢発症患者も増加しております。高齢発症の潰瘍性大腸炎患者は予後不良とされておりますが、高齢発症潰瘍性大腸炎患者の予後不良因子は明らかになっていないため、予後予測因子を明らかにする目的として、患者背景因子について後方視的に検討しました。
 高齢化社会を迎えて、今後どのように治療ストラテジーを考慮していくか、非常に重要なテーマだと考えております。その中で、予後予測可能なものがあれば、早期治療介入及び治療変更などが可能になると考え研究及び発表させていただきました。
 同じセッションでは高齢者の患者様に対して色々な視点からご発表されている先生がいらっしゃいました。高齢のためriskが高い患者様にどこまで治療介入するか、という点において意義深いディスカッションができました。今回あらためて勉強させていただいた内応をきました生かして今後もより精進していきたいと思っております。
 今回の発表会場は非常に大きく、1200人集客可能な場所でとても緊張しましたが、とても貴重な経験をさせていただきました。これも久松理一教授をはじめ、齋藤大祐先生、三浦みき先生、また諸先生方のご指導及びお力添えをいただいたこと、また、学会中に病棟を支えていただいた先生方のおかげであると深く感謝申し上げております。 この度は本当にありがとうございました。


久松理一教授が共著者の一人として加わった国際共同治験の結果報告がThe New England Journal of Medicine 誌に掲載されました

Ustekinumab as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis.
Sands BE, Sandborn WJ, Panaccione R, O'Brien CD, Zhang H, Johanns J, Adedokun OJ, Li K, Peyrin-Biroulet L, Van Assche G, Danese S, Targan S, Abreu MT, Hisamatsu T, Szapary P, Marano C; UNIFI Study Group.
N Engl J Med. 2019 Sep 26;381(13):1201-1214. doi: 10.1056/NEJMoa1900750.

<久松理一教授からのコメント>
中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対するウステキヌマブ(商品名 ステラーラ)の国際共同治験の結果がThe New England Journal of Medicine 誌に掲載されました。本論文ではウステキヌマブの寛解導入、維持効果が証明されています。 本国際共同治験には日本人患者さんも多数エントリーされており、Global Advisory Board Memberに入っていたこともあって日本人を代表として共著者に加えていただきました。治験にご協力いただいた各施設の先生方にあらためて御礼申し上げます。 治験のデータ解析や論文化のプロセス、とくにNEJM誌とのやりとりに参加させてもらったことは非常に勉強になりました。杏林消化器内科は現在も多くの国際共同治験に参加しています。今後もいい薬が患者さんの手元に届くように治験に積極的に参加していきたいと思います。
消化器内科 久松理一

三好潤先生が米国シカゴで行われたMidwest DDRCC Alliance (MDA) Conference 2019で講演を行いました

9月26−27日に米国シカゴ大学にてMDA Conference 2019が開催されました。本会は米国内でDigestive Disease Research Core Center (DDRCC)とされている研究拠点のうち中西部に位置する施設群により行われています。腸内細菌叢研究の試験デザインの最適化について議論するセッションにおいて「Minimizing generational drift and cage effects in murine microbiome studies」というテーマでの講演となりました。

Midwest DDRCC Alliance (MDA) Conference 2019

齋藤大祐先生の論文が掲載されました

MEFV Gene-Related Enterocolitis Account for Some Cases Diagnosed as Inflammatory Bowel Disease Unclassified.
Saito D, Hibi N, Ozaki R, Kikuchi O, Sato T, Tokunaga S, Minowa S, Ikezaki O, Mitsui T, Miura M, Sakuraba A, Hayashida M, Miyoshi J, Matsuura M, Nakase H, Hisamatsu T.
Digestion. 2019 Sep 6:1-9. doi: 10.1159/000502640. [Epub ahead of print]

三好潤先生が2019年度杏林大学医学部若手支援研究費制度に採択されました

杏林大学医学部には若手教員の研究活動を支援する若手支援研究費制度があります。このたび当科学内講師の三好潤先生が「包括的微生物叢解析による炎症性腸疾患治療薬の抗炎症機序の解明」という研究課題で同制度(2019年度)に採択されました。当科における研究体制のますますの発展が期待されます。

三好潤先生が第56回日本消化器免疫学会総会で学術奨励賞を受賞しました

8月1日・2日に第56回日本消化器免疫学会総会が京都にて開催されました。本会は消化器疾患と免疫をテーマとして臨床研究、基礎研究を発表、議論する歴史ある学術集会です。今年度は当科から三好潤先生「周産期母体への抗生剤曝露により子に生じる腸管dysbiosis、免疫発達異常、炎症性腸疾患リスクの上昇」、齋藤大祐先生「コルヒチンが有効なMEFV遺伝子関連腸炎がIBDUに紛れている」がシンポジウム演題として採択されました。
さらに、三好潤先生の演題が学術奨励賞として表彰されました。

日本消化器病学会関東支部第355回例会で鍛治諒介先生が症例報告を行いました

7月13日土曜日に日本消化器病学会関東支部第355回例会が海運クラブにて開催されました。当科からは鍛治諒介先生が「プロトンポンプ阻害薬中止と抗菌薬投与により改善が得られた蛋白漏出性胃腸症を来した小腸炎の1例」というタイトルで発表を行いました。大変貴重な症例であり、意義ある報告になったと思います。鍛治先生、発表お疲れ様でした。尾崎良先生をはじめ指導医の先生方もありがとうございました。

久松理一教授が7月5−6日にロシア、サンクトペテロブルグで開催されたFALK Symposiumにおいてポスターアワード(第3位)で表彰されました。

当科大野亜希子先生の論文が掲載されました

New colorectal endoscopic submucosal dissection technique using a single tunnel: the "gateway" method.
Ohno A, Kato A, Kusuhara M, Miyamoto N, Arai K, Tsuji Y, Hisamatsu T.
Endoscopy. 2019 Jul 1. doi: 10.1055/a-0917-6722. [Epub]

The 7th Annual Meeting of Asian Organization for Crohn's and Colitis in Taipei

2019年6月14−16日にThe 7th Annual Meeting of Asian Organization for Crohn's and Colitis (AOCC 2019)が台湾・台北市において開催されました。AOCCはアジア地域のIBD診療、研究の発展を目指す国際学会です。本年度は当科より、久松理一先生、松浦稔先生、桜庭彰人先生の3名が発表されました。

久松理一先生:
(1) Research Workshop I (Animal Model, Genetics, Epidemiology, Clinical Trial)   What Clinician Should Know about the Animal Model Results (2) Plenary Session 7 Looking Beyond Asia (Best Series; Bridging Asia and Worldwide)   From Asia to Worldwide - Education for IBD
松浦稔先生:
(1) Long-term efficacy of combined therapy with corticosteroids and thiopurines for induction and remission in biologic-naive CD patients
桜庭彰人先生:
(1) The ability to differentiate mucosal healing using fecal biomarkers is affected by the extension of inflammation in ulcerative colitis

<桜庭彰人先生からのコメント>
「AOCC 2019の参加報告」
 2019年6月14日~16日に台湾で行われたThe 7th Annual Meeting of AOCCに,久松理一教授,松浦稔准教授,本学医学生(M5)の根本展希さんと小生の4人で参加しました.初めてのAOCCでしたが,様々な国からの参加者を目にし,アジアの広さを改めて感じました.
 今回「The ability to differentiate mucosal healing using fecal biomarkers is affected by the extension of inflammation in ulcerative colitis」と題したポスター発表をしました.近年,炎症性腸疾患の病勢を評価するために,内視鏡検査のサロゲートマーカーとして便中のカルプロテクチン,ラクトフェリン,ヘモグロビンの測定が使われ始めています.当科では病勢によって腸管粘膜から生じる物質なので,病変範囲が影響するのではないか?というクリニカルクエスチョンをもとに様々な解析を行なっています.今回の発表では,直腸病変のみの場合は便中マーカーの信頼性が乏しいということを示しました.
 最終日の早朝には,台北市内を流れる基隆河ほとりのレインボーリバーサイドパークで,学会主催のIBDチャリティーRUNのイベントが開かれました.6時半(!)集合でしたがすがすがしい天気の中で1.6㎞のコースを走りました.滋賀医科大の安藤朗教授,札幌医科大の仲瀬裕志教授,東邦大医療センター佐倉病院の松岡克善教授,慶應大の長沼誠準教授も参加されており,普段講演でお目にかかる先生方と一緒に撮った写真は思い出のひとつです.
 2泊3日はあっという間で,観光もせず小籠包も食べませんでしたが,濃密な時間を過ごすことができました.来年のAOCCは他のメンバーにバトンを渡したいと思います.

The 7th Annual Meeting of Asian Organization for Crohn's and Colitis in Taipei
The 7th Annual Meeting of Asian Organization for Crohn's and Colitis in Taipei

当科学内講師・土岐真朗先生の原著論文が掲載されました

題名:Pharmacokinetic-pharmacodynamic comparison of ceftriaxone regimens in acute cholangitis.
著者:Toki M, Yamaguchi Y, Goto T, Yoshida T, Ota H, Ochiai K, Gondo K, Watanabe S, Kurata I, Hisamatsu T.
雑誌:J Infect Chemother. 2019 May 23. pii: S1341-321X(19)30098-4.

日本超音波医学会第92回学術集会 Ultrasonic Week 2019

当科・森秀明教授が会長を務めた日本超音波医学会第92回学術集会、Ultrasonic Week 2019は盛会のうちに終了いたしました。皆様のご参加およびご協力に厚く御礼申し上げます。

日本超音波医学会第92回学術集会 Ultrasonic Week 2019


日本超音波医学会第92回学術集会印象記

このたび日本超音波医学会第92回学術集会を2019年(平成31年)5月24日(金)~26日(日)の3日間、グランドプリンスホテル新高輪(東京・品川)で開催させていただきました。テーマは「トライアングル color トライアングル」で、コンセプトは以下のごとくです。はじめのトライアングルは「医師・技師・理工学研究者」を指しています。日本超音波医学会はこれらの3者の連携によって運営されている学会であり、この特色を活かした学術集会を開催したいと考えました。具体的には領域横断テーマの充実、たとえば日常臨床の場で医師や技師が検査を行う際、どのような技術を要望しているかを理工学研究者の先生方や企業の方々と討論し、その内容を共有することが新たな技術を開発する上で必要と思います。さらにもう一つのトライアングルは「診療・研究・教育」を指しております。医療従事者にとりましては診療・研究・教育という3本柱が永遠のテーマでもあります。1名の医療従事者が診療・研究・教育のすべてに秀でていなくても、それぞれの得意な分野で学術集会に参加・発表して頂くことは、日本超音波医学会のさらなる隆盛に必要不可欠と思われます。そのような観点に立ってUltrasonic Week2019では診療・研究・教育のバランスのよいテーマを提案いたしました。さらに現在、「医師の超音波離れ」や、理工学分野でも超音波の研究に携わる研究者の減少が問題になっておりますので、この面からも医師・技師・理工学研究者の3者が協力して若手の研究者を支援できるような学術集会を目標としました。医師・技師・理工学研究者というトライアングル、診療・研究・教育というトライアングルはどちらも毛利元就の「三本の矢の教え」にもありますように、3本束ねることにより安定した力強い形になり、超音波医学のさらなる発展に寄与するものと思います。

今回の第92回学術集会はUltrasonic Week2019として上記のテーマにご賛同いただけた第42回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会、第129回腹部エコー研究会、日本母胎胎児医学会:産科超音波セミナー2019(以上、同時開催)、日本超音波検査学会、日本膵臓学会、日本消化器がん検診学会、日本人間ドック学会、基礎技術研究会、光超音波画像研究会(以上、共同企画)が参画しました。各会場では連日、ホットなディスカッションが行われ、また2日目の夜にはファイアサイドトーク(懇親会)を開催し、おいしいお食事と素敵な音楽を参加者の皆様に楽しんでいただきました。3日間で6.800名を超える参加者があり、盛会に終了することができましたことをご報告いたします。

今回の学術集会の開催にあたり、ご支援いただきました各企業の皆様、
すばらしいプログラムをご提案頂きました実行委員の先生方ならびに準備段階から当日の会場係までお手伝いいただきました消化器内科学教室の先生方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

日本超音波医学会第92回学術集会

会長 森 秀明

J Crohns Colitisに久松理一教授の原著論文が掲載されました

J Crohns Colitisに久松理一教授の原著論文が掲載されました

Hisamatsu T, Kato S, Kunisaki R, Matsuura M, Nagahori M, Motoya S, Esaki M, Fukata N, Inoue S, Sugaya T, Sakuraba H, Hirai F, Watanabe K, Kanai T, Naganuma M, Nakase H, Suzuki Y, Watanabe M, Hibi T, Nojima M, Matsumoto T; DIAMOND2 Study Group.
J Gastroenterol. 2019 Apr 30. doi: 10.1007/s00535-019-01582-w. [Epub ahead of print]


<久松理一教授からのコメント>
本試験は半年以上アダリムマブとチオプリン製剤の併用療法で臨床的寛解であったクローン病患者さんにおいて、その後アダリムマブ単独治療に切り替えた群と併用療法を継続した群で1年後の臨床的アウトカムを比較した多施設共同前向き試験の結果になります。
先だって行われたDIAMOND1試験によってbio naiveクローン病患者さんにおける寛解導入-維持試験におけるアダリムマブ単独治療とチオプリン製剤併用療法の比較は検討されていました。本試験は、いったん併用療法で落ち着いた患者さんはいつまで併用療法を続けるべきなのだろう?というクリニカルクエスチョンに基づいて計画されました。その理由は、やはり多剤による免疫制御治療(特にチオプリン製剤を含んだ治療)を長く続けるリスクを考えなければいけないからです。本試験によって、半年以上落ち着いていた患者さんにおいてはその後も併用療法を継続するメリットは明らかとはなりませんでした。Nが少なく、観察期間が1年間というlimitationはありますが重要な情報を提供できたと思います。
本試験はエントリー患者さん確保に難渋し、臨床研究法の移行期のために最終目標患者数前に終了しなければいけませんでした。いくつかの雑誌の査読者からなんで予定症例数まで頑張らなかったの?とコメントされました。たしかに予定症例数を満たしていればデータの質からさらに上のJournalにはいったと思います。とはいえ、多施設の皆で協力して行った試験を代表で論文化させてもらったことは大変光栄に思います。
これでDIAMOND1のサブ解析論文と合わせてようやく自分の責任を果たせましたので少しホッとしています。

中国湖北・宜昌で開催された第十二回全国消化管早期癌学術研究会に大野亜希子先生が招聘されました

中国 湖北・宜昌遠征レポート

2019年4月26日-28日、湖北・宜昌で開催された第十二回全国消化管早期癌学術研究会に出張して参りました。日本の地方会に相当する学会でありますが、広大な中国ではこのような学会が全国各地で毎週末のように開催されています。2日目はライブデモンストレーションがあり、ESDからEUS、ERCPに至るまで実に様々な手技が計6部屋で一斉に行われ、会場に生中継されます。海外からは日本から3名の医師が参加、私は大腸腫瘍症例を担当いたしました。機器の仕様や配置が異なる慣れない環境の上、生検による影響で強い瘢痕を伴う症例でしたが、リング状糸付クリップによるトラクション方法が有用で無事に一括切除でき、ほっと胸をなでおろしました。会場で中継をみている参加者は、日本とは少し異なり、若手よりもベテランの先生方が多くを占めます。ご自身でも手技をされている参加者が多いため、より実践的な質問が多く聞かれました。特に今回用いたデンタルフロスを用いたリング状糸付クリップによるトラクション法は、初めてみる方法であったようで、リングの大きさやかける位置の工夫など様々な質問をいただき、意見交換をしながら手技を終了しました。中国の内視鏡技術はこの数年で急激に向上してきています。新しい手技や工夫も大好きでどんどん取り入れようとします。ただ診断力の点においてまだ日本は頭ひとつ抜き出ているように感じました。 また中国で印象的であった事は、女性医師の数が非常に多い事でした。会場でも女性医師が半数弱を占め、院長などの役職にも多数の女性の先生がいらっしゃいます。かつての日本がそうであったように、祖母や祖父が一緒に住みみんなで子供の面倒をみるため、女性医師はすぐに職場へ復帰するそうです。 5月には中国雲南省から研修生がいらっしゃる予定ですので、こちらの交流も楽しみにしたいと思います。


消化管治療班 大野亜希子

中国湖北・宜昌で開催された第十二回全国消化管早期癌学術研究会に大野亜希子先生が招聘されました

J Crohns Colitisに久松理一教授の原著論文が掲載されました

J Crohns Colitisに久松理一教授の原著論文が掲載されました

Hisamatsu T, Matsumoto T, Watanabe K, Nakase H, Motoya S, Yoshimura N, Ishida T, Kato S, Nakagawa T, Esaki M, Nagahori M, Matsui T, Naito Y, Kanai T, Suzuki Y, Nojima M, Watanabe M, Hibi T; DIAMOND study group. Concerns and side effects of azathioprine during adalimumab induction and maintenance therapy for Japanese patients with Crohn's disease: a sub-analysis of a prospective randomized clinical trial (DIAMOND study).
J Crohns Colitis. 2019 Feb 8. doi: 10.1093/ecco-jcc/jjz030. [Epub ahead of print]


<久松理一教授からのコメント>
この論文は生物学的製剤ナイーブな日本人クローン病患者に対してアダリムマブで治療を開始するときにチオプリン製剤を併用するメリットがあるのかどうかを明らかにするために行われた多施設共同、ランダム化比較試験(通称DIAMOND試験)のサブ解析論文です。DIAMOND試験は本論文、内視鏡的評価に関する論文、血中濃度と抗製剤抗体に関する論文、とすでに3本が発表されていました。私は、どのような患者さんが試験脱落していったのか?というちょっと変わったところに着目しました。そうするとアダリムマブ+チオプリン併用群ではチオプリン製剤の副作用を懸念した早期脱落が多く、アダリムマブ単独治療群では徐々に疾患活動性が増悪による脱落が増えてくる、ということが判明しました。この論文から、エキスパートといえどもいかにチオプリン製剤の急性期副作用を心配しながら治療しているかということがわかりましたし、チオプリン併用群での試験脱落リスク因子として低体重が抽出され、痩せ型の男性ではチオプリン投与量に注意する必要があるのかもしれないということもわかりました。嬉しかったのは、こういうRCTで試験脱落者に注目した解析というのはほとんどなく非常に面白いと海外査読者に評価されたことです。きちんとしたデータシートさえ作成できれば、いろいろなことが見えてくるということが実感できました。また多施設共同研究というのは友人をつくるいい機会であることもわかりました。ぜひ若い先生方も積極的に多施設共同研究に参加するといいと思います。

杏林医学会にて医学生の齋藤みずほさんが第8回学生リサーチ賞を受賞しました

2018年4月14日に,みやこめっせ(京都)で開催された第115回日本内科学会総会・講演会「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2018京都」で当時M6の医学生だった齋藤みずほさんがポスター発表をしました。その業績が評価され,杏林医学会第8回学生リサーチ賞を受賞しました。

「ことはじめ」は日本内科学会総会が主催する全国大会で,卒後5年目までが対象となります。医学生は1割程度しかいない大舞台ですが,齋藤さんは学生でありながら医師と肩を並べて堂々とした発表をしてくれました。患者さんに接する態度や病態を深く掘り下げようする姿勢は特筆すべきものがありました。臨床医として将来がとても楽しみな齋藤さんからのコメントです。

「この度、第8回学生リサーチ賞を受賞させて頂き、非常に光栄に存じます。
 今回報告させて頂きました症例は、消化器内科のBSL実習時に担当させて頂いた患者様のものです。消化器内科のBSL実習では、毎日患者様に問診、診察しカルテを書き、実習の終わりに症例検討会を行います。はじめは患者様のところにお伺いするのも緊張し、適切な診察を出来ているのか不安になりましたが、先生方が的確なフィードバックをして下さり、カルテの書き方やプレゼンテーションの方法から診断・治療方針の立て方まで多くを学ぶことが出来ました。
 また、本症例は昨年4月に行われた第115回日本内科学会ことはじめでポスター発表もさせて頂きました。学会発表は初めての経験でしたが、桜庭先生をはじめ第三内科の先生方のご指導により、大変貴重な経験をさせて頂きました。
 最後になりますが、学生リサーチ賞に推薦して下さりBSL実習時から丁寧なご指導を頂きました久松教授、桜庭先生、ならびに第三内科の先生方に厚く感謝申し上げます。4月から初期研修を行うにあたり、今回の経験を活かしより一層精進していきたいと存じております。この度は本当にありがとうございました。」


杏林大学医学部第三内科 桜庭彰人

杏林医学会にて医学生の齋藤みずほさんが第8回学生リサーチ賞を受賞

医学部4年根本展希君が第三内科学教室における研究で第47回杏林医学会総会優秀賞受賞

2018年11月17日に,本学で行われました第47回杏林医学会総会・一般口演で,医学部4年の根本展希君が優秀賞を受賞しました。
今年は全32演題の発表がありましたが,医学生の発表は根本君のみでした。演題は「潰瘍性大腸炎における粘膜評価について罹患範囲を考慮した便中バイオマーカーの有用性」という臨床研究です。当教室では久松教授の指導の下,炎症性腸疾患について研究を行っています。研究内容は,炎症性腸疾患の活動性の指標として,近年脚光をあびている便中バイオマーカーの特性について,新たな切り口で迫ったものになります。得られたデータを緻密に考察し,本質を見出そうする探求心は,医学生でありながら非常に秀でており,それが受賞につながったものと思われます。
根本君は「この度は学生という立場でありながらこのような賞を頂き、久松教授や櫻庭先生をはじめ、消化器内科の先生方に心より御礼申し上げます。先生方には日頃より丁寧なご指導を頂きまして誠にありがとうございます。現状に満足することなく今後もより一層邁進していきたいと思います。」と語っています。


杏林大学医学部第三内科 桜庭彰人

医学部4年根本展希君が第三内科学教室における研究で第47回杏林医学会総会優秀賞受賞

第26回日本消化器病関連週間のデジタルポスターセッションにて渡邉俊介先生が若手奨励賞を受賞

<渡邉先生からのメッセージ>
この度,第26回日本消化器病関連週間のデジタルポスターセッションにて,若手奨励賞を受賞させて頂きました。「膵充実性腫瘍に対するProCore20Gの有用性と安全性の検討」という演題で,当院におけるEUS-FNAの成績を報告させて頂きました。ProCore20G針は,これまでに無い順行性のcoretrapを有する新しい穿刺針であり,当科における診断成績も良好であったことから,このような発表をすることとなりました。EUS-FNAは日々の実臨床で行っている検査手技ですが,一例一例の経験を無駄にせず,多数例集積し結果を解析することで,これまで私たちが行ってきたことを振り返る大切さを実感するとともに,その楽しさも感じることができました。
今回の学会では,他施設がどの様な研究を行っているのかを知る良い機会になり,また,同世代の先生方がより大きな舞台で発表をされている姿を目の当たりにし,非常に刺激を受けることができました。今後も様々な研究,学会活動を行うにあたり,今回の経験を生かさなければならないと考えております。
最後に本研究,発表の御指導をして頂きました,土岐先生,久松教授に深く感謝申し上げます。また,不在の間に業務を代行して頂いた先生方にも御礼申し上げます。 この度は本当にありがとうございました。


杏林大学医学部第三内科 渡邉俊介

第26回日本消化器病関連週間のデジタルポスターセッションにて渡邉俊介先生が若手奨励賞を受賞

Intestinal Researchに久松理一教授の原著論文が掲載されました

Intestinal Researchに久松理一教授の原著論文が掲載されました

Effect of elemental diet combined with infliximab dose escalation in patients with Crohn's disease with loss of response to infliximab: CERISIER trial.
Hisamatsu T, Kunisaki R, Nakamura S, Tsujikawa T, Hirai F, Nakase H, Watanabe K, Yokoyama K, Nagahori M, Kanai T, Naganuma M, Michimae H, Andoh A, Yamada A, Yokoyama T, Kamata N, Tanaka S, Suzuki Y, Hibi T, Watanabe M; CERISIER Trial group.
Intest Res. 2018 Jul;16(3):494-498.

日本消化器内視鏡学会関東地方会 大腸ESDハンズオンセミナー

2018年6月17日、シェーンバッハ・サボーにおいて開催された第106回日本消化器内視鏡学会関東支部例会ハンズオンセミナーにおいて当科の大野亜希子医師がインストラクターとして選任されました。総合司会にNTT東日本関東病院内視鏡部の大圃研医師を迎え、大野医師を含む4名のエキスパートによりブタの切除検体を用い、大腸ESDのレクチャーが施行されました。大腸ESDにおける内視鏡操作技術は非常に微細な操作を必要とし、胃とは異なるストラテジーのコツがあるため、その習得が重要となります。今回多数の施設から多くの先生方が参加され、熱い技術指導と活発な情報交換が行われました。

日本消化器内視鏡学会関東地方会 大腸ESDハンズオンセミナー
日本消化器内視鏡学会関東地方会 大腸ESDハンズオンセミナー

Intestinal Researchに齋藤大祐先生の原著論文が掲載されました。

Intestinal Researchに齋藤大祐先生の原著論文が掲載されました。

Evaluation of the drug-induced lymphocyte stimulation test for diagnosing mesalazine allergy
Daisuke Saito, Mari Hayashida, Taro Sato, Shintaro Minowa, Osamu Ikezaki, Tatsuya Mitsui, Miki Miura, Akihito Sakuraba, and Tadakazu Hisamatsu Intestinal Research 2018; 16(2): 273-281
Dig Endosc. 2017 Nov 27. doi: 10.1111/den.12992. [Epub ahead of print]

第640回内科学会関東地方会にて平塚智也先生が奨励賞を受賞

2018年3月10日(土)に、東京国際フォーラムで開催されました第640回内科学会関東地方会にて、今年4月に消化器内科に入局された平塚智也先生が奨励賞を受賞致しました。発表は、「サルモネラ感染性大動脈瘤が十二指腸憩室に穿破した一例」と題した症例報告です。サルモネラは、肉や卵等の食品を介して、腹痛・下痢といった消化器症状を発症する感染症ですが、高齢者等の抵抗力が弱まっている患者においては、敗血症・感染性大動脈瘤・骨髄炎などの多岐にわたる腸管外合併症をきたすことが知られています。今回の発表では、サルモネラ敗血症に対して抗菌薬投与で軽快後に、消化管出血・感染性大動脈瘤・腸腰筋膿瘍をきたし、病理解剖にて診断に至った貴重な症例を報告致しました。受賞された平塚先生は、「久松理一教授、森秀明教授をはじめとする諸先生方の御指導により受賞出来たことが喜びであり、今後臨床・研究に邁進していきたい」と語っており、本年度は平塚先生を含め、5名の新入局員を迎えて、医局員共々歓迎しつつ、今後更なる医局の発展に繋げていきたいと、考えております。

文責:杏林大学第三内科 池崎 修

第640回内科学会関東地方会にて平塚智也先生が奨励賞を受賞

Digestive Endoscopyに久松理一教授のcase reportが掲載されました。

Digestive Endoscopyに久松理一教授のcase reportが掲載されました。

Linked Color Imaging identified UC Associated Colorectal Cancer. A case report. Hisamatsu T, Ohno A, Chiba T.
Dig Endosc. 2017 Nov 27. doi: 10.1111/den.12992. [Epub ahead of print]

Intestinal Reserchに久松理一教授による英文Reviewが掲載されました。

Intestinal Reserchに久松理一教授による英文Reviewが掲載されました。
久松教授着任後、初の杏林オリジナル英語論文第1号となります。

Hisamatsu T, Hayashida M.
Treatment and outcomes: Medical and surgical treatment for intestinal Behçet's disease, Review.
Intest Res 2017; 15(3): 318-327

The 5th Annual Meeting of AOCC参加報告

 今回、幸運にもThe 5th Annual Meeting of AOCCに演題が採択され、2017年6月15日~17日に韓国ソウルで開催された同学会に参加して参りましたので報告をさせていただきます。
 本学会には杏林大学第三内科からは久松理一教授をはじめ、三浦みき先生、德永創太郎先生と私の計4名で参加をさせていただきました。
 私は"Evaluation of usefulness of drug-induced lymphocyte stimulation test for the diagnosis of mesalazine allergy"として、潰瘍性大腸炎をはじめとした炎症性腸疾患に対する第一選択薬であるメサラジン製剤に対するアレルギー症状についての研究を発表させていただきました。本症状は潰瘍性大腸炎の増悪に類似した症状を呈するため速やかな診断を要するものの、多数例での検討は既報に乏しく、今後も症例の蓄積による病態の解明が必要であると考えられます。近隣での国際学会ということで日本人の先生方の参加も多く、日本語でいただいた質問が多い印象ではありましたが、興味を持ってみてくれている海外の先生方も多く、本研究の重要性を再認識致しました。論文化を急ぐとともに、今度も研究を継続していきたいと考えております。
 また、学会において久松理一教授をはじめ東京医科歯科大学の松岡克善先生、北里大学北里研究所病院の小林拓先生など、普段は日本語での講演を拝聴している著明な先生方の流暢な英語での講演、質疑応答などを耳にすることは、新鮮な驚きとともに国際学会に参加する重要性を改めて認識されられました。そして同時に自分の研究成果を英語として形にして世界に向けて発表していく必要性を実感致しました。
 今回は二泊三日での国際学会参加でもあり学会会場以外を訪れる時間をほとんどありませんでしたが、学会を通じて様々な学びが得られ、非常に充実した国際学会参加となりました。AOCCは特に炎症性腸疾患を中心とした学会であるため、ひとつの疾患を深く掘り下げた内容の濃い演題がとても多く、参加者それぞれが今後の研究のヒントとなる発表にも出会うことが出来ました。来年は上海で開催されるAOCCですが、ここでも勉強をさせていただくことが出来ればと思っております。
 最後に、今回のAOCC2017に関して、研究および発表を御指導いただきました久松理一教授、留守中の病棟、外来、検査業務を代行していただいた当科の先生方に深く感謝致します。この度は本当にありがとうございました

杏林大学医学部第三内科 齋藤 大祐

The 5th Annual Meeting of AOCC参加報告

The 5th Annual Meeting of AOCC参加報告

佐藤太龍先生、第343回日本消化器病学会関東支部例会で優秀演題受賞!

第343回日本消化器病学会関東支部例会(当番会長:埼玉医科大学総合医療センター 屋嘉比 康治 教授 平成29年2月4日 海運クラブ)で佐藤太龍先生が専修医セッションの優秀演題として表彰された。ダブルバルーン小腸内視鏡による生検で小腸のgdT細胞リンパ腫という希少な悪性リンパ腫の確定診断を得た症例で、小腸内視鏡、免疫染色、手術標本、全てが揃った立派な発表であった。予演会のときよりもスライドも発表もアップグレードしておりいけるのではないかなぁとは思っていたが予想が当たってほっとしている。指導した三浦先生の功績も大である。

これで杏林消化器内科は消化器病関東地方会で3連続表彰であり、自慢してもいいのではないかなと思う。指導する先生もなんとなくこのぐらいのレベルにいけば表彰台かな?という感覚はつかんできたのではないだろうか。表彰されるかどうかにこだわる必要はないがぜひ発表レベルはこのまま維持して欲しい。

さて、問題は論文化である。せっかく三連続表彰台なのだから形に残さなくては意味がない。ここが我々の新たな壁になっている。誰か早くこの壁を突破してほしい。この三演題が論文化されたとき、着任した時の教授選考の面接で症例報告をきちんと行い論文化するところからスタートすると宣言したことが実現する。

今日は夜に研究会が入っているので祝杯が帰宅するまでおあずけなのがつらい・・・・。

佐藤太龍先生、第343回日本消化器病学会関東支部例会で優秀演題受賞!

第342回日本消化器病学会関東支部例会にて和田晴香先生、研修医セッション第一位を受賞!

2016年12月3日(土)、海運クラブにて第342回日本消化器病学会関東支部例会(虎の門病院消化器内科 内視鏡部部長 貝瀬 満先生 当番会長)が行われた。

今回の例会にはなんと事前調整のうっかりもありなんと3演題もの発表があった。うっかりで演題ゼロとは真逆のうれしい誤算である。当番会長より感謝されたのは言うまでもない。一般演題の部では箕輪先生が放射線腸炎の早期障害というめったに診断することのできないケースを、深澤先生が再発性膵炎から膵癌を発見した貴重な症例を報告した。一般演題だったので賞が設置されていなかったが本人たちにはとてもいい経験となったはずだし杏林のプレゼンスを示してくれた。指導された斉藤先生や土岐先生ご苦労様でした。

そしてもう一演題、研修医セッションでなんと研修医1年目の和田晴香先生が研修医セッション優秀演題第1位を獲得した!入賞常連の医科歯科大学などを抑えての第1位は快挙である。症例は米国人セリアック病の一例で上部内視鏡やカプセル内視鏡所見、病理所見も揃い、グルテンフリー食での治療経過もあり、おそらくここまでそろったセリアック病の症例報告は日本ではほとんどないはずである。プレゼンも堂々としていて素晴らしく、予想外の座長質問にも完璧に回答していた。これはおそらく自分で勉強していなければ答えられなかったはずなので少し驚いた。

もちろん、メンターの林田先生の指導が抜群にすばらしかったことも大きい。出来上がったスライドはほぼ手を加える必要のないものであったし文献検索、特殊検査のオーダーなど漏れは全くなかった。まちがいなく現時点で林田先生と和田先生はセリアック病については僕より詳しい(というより日本のDrでトップクラスの知識だろう)。

そのなかで自分が貢献したとすれば内視鏡写真をきちんと撮影したことと発表者として和田先生を指名したことであろうか。ほとんどノリで決めたところもあるが、こういう直感については外れたことがないのは少々自慢である。受賞の副賞として次回の消化器病学会総会(春、京王プラザ⇒う~ん東京か。。)のフリー参加券をいただいたので、ぜひ和田先生にはそこでも参加するだけでなくポスター発表などをしてもらえたら嬉しい。また、すでに和田先生からは論文執筆にもチャレンジするという返事ももらっているので頑張ってほしい。

また、うれしかったのは桜庭先生が自発的に和田先生の応援団として同期の研修医全員を連れてきてくれたことである!こんなことは僕も初めての経験であった。とても活気のある風景だったし、和田先生の晴れ姿は同期の刺激にもなったはずだろう。みんなで食べた四川飯店はいい思い出になったはずである。病棟をカバーしてくれた先生たちにも感謝します。 個人的には評議員会が控えており麻婆豆腐を少ししか食べられなかったのと、授賞式の晴れ姿を見れなかったのが残念である。そのかわり、夜は研究会が終了した後で親友である札幌医大の仲瀬教授とマンダリンオリエンタル東京のスカイバーで祝杯をあげさせてもらった。

最後に、いつもの締めで。。。

『症例報告は発表で終わりではないので必ず論文にすること。そうしなければ後世に残らないから意味がない。』 とてもいい週末でした。皆さんありがとう。

2016年12月4日 久松 理一

第342回日本消化器病学会関東支部例会

和田先生表彰式

第342回日本消化器病学会関東支部例会

第342回日本消化器病学会関東支部例会

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座を行いました

2016年9月4日に,読売・日本テレビ文化センター健康公開講座として,「~炎症性腸疾患~潰瘍性大腸炎・クローン病の診断と治療」と題した市民公開講座を府中市で行いました。当日は約150名の方にお集まりいただき,炎症性腸疾患への関心の高さをうかがわせました。

第一部は,炎症性腸疾患の基礎知識について,幅広く内科,外科,小児科の視点から,当科教授久松理一先生,当院消化器・一般外科教授正木忠彦先生,国立成育医療研究センター消化器科医長新井勝大先生より話しいただきました。炎症性腸疾患は子どもの時にも発症しやすい疾患です。普段大人を診ているものにとって,新井先生の優しくて熱いトークは,患者さんの近い位置でサポートする大切さを改めて学ぶよい機会となりました。会場でも,胸が熱くなった方が少なくないと伺いました。

第二部は,炎症性腸疾患の生活指導について,どのように指導しどこまで制約をしているのか,現場の生の声をお届けしました。当科の医師だけでなく,病棟看護師,外来看護師に新井先生を交え,久松先生の司会でお伝えしました。

まだまだ知らない人も多い潰瘍性大腸炎・クローン病ですが,悩んでいる患者さんはどんどん増えています。少しでもこの溝を埋められたら,今回の公開講座は成功だったと思いますし,今後も続けていくことが大切だと思いました。

桜庭彰人

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座

当科教授 久松理一先生

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座

臨床現場の生の声をお届けしました

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座

約150名の方にご参加いただきました

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座

消化器・一般外科教授 正木忠彦先生

読売・日本テレビ文化センター健康公開講座

国立成育医療研究センター消化器内科医長
新井勝大 先生

第341回日本消化器病学会関東支部例会を終えて

2016年9月24日(土)、海運クラブにて第341回日本消化器病学会関東支部例会(自治医科大学 山本博徳 教授 当番会長)が行われた。

今回の例会は杏林大活躍の会であった! まず午前の部で神保先生が座長を立派にこなした。消化器病専門医、内視鏡専門医も獲得したとのことなので関東支部評議員目指して頑張ってほしい。
また土岐先生が専修医セッションの評価者として質問に立ち大活躍していた。

そして宮本先生が専修医セッションで優秀演題賞を獲得した!病理解剖で診断を付けた腹膜中皮腫の症例発表で質疑応答も堂々としており病理スライドもよくまとまっていたので、もしかしたらとは思っていたが実際名前が呼ばれた時にはガッツポーズが出て後ろに座っていた土岐先生と握手して喜んだ。最前列に座っていたので少々目立ったかもしれないが・・・。指導をした池崎先生の努力も大きいと思う。今度は宮本先生が後輩を指導してタスキをつなげてほしい。何より素晴らしかったのは病理解剖を行い確定診断をつけたことだと思う。もし病理解剖をしていなかったらこの患者さんの最終診断は違ったものになっていたはずである。年頭のメッセージに記した臨床を最後までやり抜く姿勢を見た気がする。ぜひ、もうひと頑張りして論文に残してほしい。

そのあとすぐに自分の特別講演の機会をいただいた。非特異性多発性小腸潰瘍症の責任遺伝子同定に至るストーリーを若手向けのメッセージを含めて発表した。少しでも若いDrたちの刺激になってくれたら幸いである。

そして最後は矢島先生(医学教育学)の名司会のもと土岐先生が準備委員の一人として活躍しているドクターガストロが行われた。はじめて参加したが多くの若い先生が必死にメモを取っているのをみて感心した(2問目終了した時点で退席したが、とりあえず診断あたっていてほっとしました・・・)。

当番会長の山本先生からは杏林大活躍で活気があっていいですねとお褒めと感謝の言葉をいただいた。教授冥利に尽きるというものである。
帰りは一人寿司屋に行って祝杯をあげてきた、こういう時の酒は格別であったことは言うまでもない。

2016年9月24日 久松 理一

第341回日本消化器病学会関東支部例会
第341回日本消化器病学会関東支部例会
第341回日本消化器病学会関東支部例会

アジア太平洋消化器病週間(APDW)2015 参加報告

この度、2015年12月3日から6日に台湾の台北においてアジア太平洋消化器病週間(APDW)が開催されました。当科では齋藤大祐、池崎修のポスター発表者2名を含む、総勢5名で参加しました。今回、齋藤は大腸ポリープ切除におけるコールドスネアポリペクトミーとコールドポリペクトミーの比較検討、池崎は低用量アスピリンにより誘発される小腸粘膜障害に対してエカベトナトリウム内服の有用性について、ポスター発表をさせて頂きました。私は、初めての海外での学会発表であり、参加するに際して、常に緊張感の連続ではありましたが、無事に発表が終わるとともに、日本以外のアジア太平洋の医療関係者の発表にも目に触れる事ができ、普段の診療とは異なる刺激的かつ貴重な経験をさせて頂きました。今回学ばせて頂いた経験をもとに、今後の診療および研究に生かしていきたいと考えています。

文責:杏林大学医学部 第三内科 池崎修

アジア太平洋消化器病週間(APDW)2015 参加報告
アジア太平洋消化器病週間(APDW)2015 参加報告

米国消化器病学会ACG 2015 Annual Scientific Meeting参加報告

2015年10月16日から25日に常夏の島ハワイにおいて米国消化器病学会(ACG)が開催されました。Governorの高橋信一教授を筆頭に、久松理一教授、山口康晴、徳永健吾生、土岐真朗、渡邉俊介、桜庭彰人のポスター発表者6人を含む、総勢13人で参加しました。これだけ多くの一団は日本以外の他の施設からもみられませんでした。まるで国内の学会のようで、awayな感じはありませんでした。ホノルルのキラキラした太陽、青い海と空は、日常の診療風景では味わえない環境でした。2016年のラスベガスでも、診療と研究の成果を発表したいと思います。

ポスターの前で。

ポスターの前で。

会場に謎の微生物?

会場に謎の微生物?

発表前にダイナーで昼食です。

発表前にダイナーで昼食です。

発表してきました。

発表してきました。

晩餐会。みんなで勢揃いです!

晩餐会。みんなで勢揃いです!

齊藤大祐先生の論文が日本消化器内視鏡学会雑誌に掲載されました。

齊藤大祐,林田真理,三浦みき,櫻庭彰人,徳永健吾,小山元一,森 秀明,久松理一,大倉康男,高橋信一
大腸ポリープ摘除におけるcold snare polypectomyと内視鏡的粘膜切除術の比較検討
日本消化器内視鏡学会雑誌 Vo.58(1), p32-37, 2016.

菊地扇輝先生 第101回日本消化器内視鏡学会関東支部会にて専修医セッションにて優秀演題賞受賞

この度は、第101回日本消化器内視鏡学会関東支部会における専修医セッションにて優秀演題賞をいただき光栄に思っております。症例を発表するにあたり久松理一教授、斎藤大祐先生はじめ消化器内科の先生方にご尽力していただきました。本当にありがとうございました。 これを励みに今後も日々の医療に勤しんでいきたいと思っております。

杏林大学医学部 第三内科 菊地翁輝

菊地扇輝先生 第101回日本消化器内視鏡学会関東支部会にて専修医セッションにて優秀演題賞受賞
菊地扇輝先生 第101回日本消化器内視鏡学会関東支部会にて専修医セッションにて優秀演題賞受賞

第23回欧州消化器病週間(UEGW)2015 参加報告

この度、第23回UEGW (United European Gastroenterology:Week)へ参加致しましたので、御報告致します。UEGWは消化器領域における世界でも権威のある国際学会のひとつであり、今回はスペインのバルセロナに世界各国から1万3千人を超える医師および研究者が参加しました。

発表ポスターの前で

発表ポスターの前で

私は今回、緊急上部内視鏡検査における胃洗浄の有用性についてのポスター発表で学会に参加しました。周囲には当院以上に緊急内視鏡の経験数を多く持つ施設の発表が多数あり、各国における内視鏡のとらえ方や技術、医療保険や医療費に対する考え方におけるまで実に様々である事を非常に興味深く感じました。

発表ポスターの前で
いつ英語での質問がくるか緊張。
心配をよそに、どの方も私の拙い英語を一生懸命理解しようとしてくれました。感謝です!

切除後ブタの食道・胃を用いたハンズオン・トレーニング

切除後ブタの食道・胃を用いた
ハンズオン・トレーニング

また私は2012年から4回目の参加となりましたが、いつも日本の内視鏡検査・治療のレベルの高さを認識するとともに、常に世界の内視鏡の中心にある事を日本人として非常に誇らしく感じます。同時に繊細な日本人の内視鏡技術をさらに磨くだけではなく、常に世界の求める標準と照らし合わせていく事が重要であると感じました。

切除後ブタの食道・胃を用いたハンズオン・トレーニング
他病院の先生方とともにESDのハンズオンにも参加。海外ではこのようなトレーニングは人気が高く、いつも長蛇の列ができます。術者の先生も真剣そのものです。

一緒に参加された林田先生と地中海をバックに

一緒に参加された林田先生と地中海をバックに

一方で、今回も自分の英語力がまだまだ不十分である事を痛感しました。ディスカッションしたい時に円滑に言葉がすぐに出ずにもどかしい思いをする事も多々あり、改めて自分から何かを海外で発信するには英語力が必須であり、この気持ちを持続して持ち続けて是非次回の機会に生かしていきたいと思います。

一緒に参加された林田先生と地中海をバックに
現地の空気と文化に触れる事ができるのも、海外学会の醍醐味の一つです。この日は地中海に面したレストランで極上のパエリアを頂きました。

ガウディ建築代表作世界遺産 カサ・ミラ Casa Mila

ガウディ建築代表作世界遺産 カサ・ミラ Casa Mila

本学会では、臨床現場で得られた知見を発表するとともに、自分に足りないものを認識し今後の目標を見据える機会としても、非常に貴重な体験となりました。このような機会を与えてくださった大学関係者の皆様に、心より感謝いたします。

ガウディ建築代表作世界遺産 カサ・ミラ Casa Mila
屋上の奇妙な形の塔は、如何にもガウディという曲線美。植物からヒントを得たというデザインは斬新ですが優しく、なぜか落ち着きます。